ブラジル連邦警察の集計によると、16年度にブラジル北部のロライマ州に住み始め、保護申請をしたベネズエラ人は2千人を超えたと7日付エスタード紙が報じた。
この数は国家難民審議会(Conare)に提出する保護申請を行った人の数で、ロライマ州政府は、国境を越えてきた人の数は3万人と見ている。今年は移民法改定が見込まれるため、ブラジルに来るベネズエラ人は更に増えると見られている。
ベネズエラ人の流入増加は、ベネズエラ国内の政治的、経済的な混乱が原因だ。ロライマ州州都のボア・ヴィスタでは、食べ物さえ欠く状態に耐えかねて国境を越えた人達が、路上で物を売り歩いたり、車の窓ガラスを洗ったりする姿が各地で見られる。ベネズエラ人は正式な仕事に就く事も願っているが、ポ語が話せず、就職できない人も多いという。
仲間と共にバスでブラジルに来たというベネズエラ人男性は路上生活をしながら、母国にいる家族に送金するために仕事を探しているという。
資材を売り払い、借金を清算したが、息子や孫がやせ細る様子を見て家族連れでブラジルに来たという男性は、「息子は仕事も見つかった。皆、家族を呼び寄せたくて仕事を探している。ブラジルには食べ物がある」と言う。
8日付エスタード紙によれば、ラポーザ・セーラ・ド・ソルなどの先住民保護区にもベネズエラから来た先住民が住み着き始めている。また、ベネズエラの政治的、経済的混乱で苦しんでいるのは先住民だけではない例として、中流の上の家庭に育ち、本屋を経営していた女性が仕事に行き詰まり、ブラジルで物売りに転じたところ、収入が本屋を経営していた時の5倍になったという話も掲載している。
ロライマ州へのベネズエラ人流入は昨年来、急速に増えており、同州の移民統合局が外国人に対応した件数は、昨年10月以降だけで5万件に上る。同州で就学中のベネズエラ人子弟の数も、昨年だけで57%増えたという。