サンパウロ市ドン・ペドロ区では6日夜から、幹線道路の東西線のペーニャ方面行き車線で通行規制が続いている▼東西線からラジアル・レステに繋がる橋の下で起きた、路上生活者の焚き火が瞬く間に広がって5メートルに及ぶ火柱も立った火災が原因だ。橋の構造に影響を及ぼした可能性があり、市当局は橋の下の瓦礫や土を撤去して再調査後、橋強化のための工事を行う。その間は東西線の通行規制が続く▼橋の下という狭い空間での路上生活者の焚き火による火災が、1200万人超が住む都市の大動脈の一つを詰まらせ、連日の交通渋滞を招くとは誰が想像しただろう。現場を見に行くと、水路をはさんだ道路で暮らす路上生活者が「10分も経たない内に炎が燃え盛り、橋の下にあった小屋を焼き尽くした」と教えてくれた▼火災現場は病院の真ん前だから、火災発生時は、路上生活者や周辺にいた車中の人、入院患者も含む病院関係者を大いに驚かせた事だろう。現場付近は複数の高架橋が交差している。7日のサイト情報でグリセリオ区の州立病院前から高架橋に入る道が閉鎖された写真を見、水路のセントロ側と思ったら向こう側だったという誤算も起きた▼路上生活者の焚き火がサンパウロ市の大動脈の幹線道路の通行規制などを呼び起こした事は、「蟻の一穴」という言葉を思い起こさせる。学校が休みの時期に増える凧揚げの糸で、バイクの運転手が死亡したり、電話線や電線の被膜が破れて、電話が不通になったりする事故もまた然りだ。火災の様子を話してくれた路上生活者が「何年の何ビルの火災もひどかったが」などと話し始めたのにも驚いたが、改めて自分の足で現場を歩く必要も感じた。(み)