8日の欧州チャンピオンズ・リーグで、同リーグ史上最大の大逆転劇となったバルセロナ対PSG戦。ネイマールはこの試合で試合終了間際の3得点を演出し、一躍ヒーローとなったが、その一方で、敗戦側のPSGには、全く対照的な悲劇のプレイヤーが生まれることにもなってしまった。
そのプレイヤーの名はチアゴ・シウヴァ。奇しくもネイマールとは、あの2014年のW杯でブラジルがドイツに1―7の惨敗を喫した際、共にその試合に出場できなかった選手として知られている。
あのとき、骨折したネイマールはスタジアムにいなかったが、イエローカード累積で不出場だったチアゴ・シウヴァは、セレソンのユニフォームを着ることもできず、観客席で試合を観戦。信じられない敗戦に呆然となり、泣きじゃくる選手たちを、チームの主将として慰めようとしていた姿が印象に残っている。
そのチアゴが、今度はPSGの主将として、1―6というスコアでの大逆転劇を味わってしまったのだから皮肉だ。しかも今度は自ら試合に出場しての屈辱だ。
この試合での敗戦後、PSGは地元フランスで大きく叩かれた。批判の声は守備の要を司るチアゴ・シウヴァにも向けられ、「彼は主将の器ではない」などという厳しい言葉も浴びせられた。
チアゴは試合後のインタビューで、前のバルセロナとの一戦を4―0で勝ったことでチームが浮き足立っていたことを認め、「僕たちには向かっていく姿勢が足りなかったと思う」と語った。
そして、対戦相手として試合のヒーローとなったネイマールのことをチアゴは褒め称えた。「ネイマールはすごい。奴は(マスコミや客から)叩かれれば叩かれるほど、良いプレーをするんだ」と、その精神力の強さを称えた。
この試合はブラジルでもその夜の内に大きく報じられ、ネイマールが称えられる一方、ネット上ではチアゴの冗談画像も流れた。そこには「1―7のときもそこにいた。1―6のときもそこにいた」と書かれていた。これに対し、「貧乏くじを引いているみたいでかわいそう」とほほえましく同情する声や、「1―7の試合には出てなかったぞ」「仮にも世界屈指のディフェンダーなんだから失礼だぞ」と擁護する声も少なくなかった。(9日付ゴール・サイトなどより)