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サンパウロ市警=中国系マフィア14人を逮捕=市内中央の中国人商店を脅迫=殺人、誘拐、人身売買も追及

サンパウロ市の3月25日街(Paulo Pinto/Fotos Publicas)
サンパウロ市の3月25日街(Paulo Pinto/Fotos Publicas)

 サンパウロ市警殺人罪・人身保護担当課(DHPP)が8日、中国系マフィアの構成員ら14人を逮捕したと8・9日付現地紙サイトが報じた。
 このマフィアはサンパウロ市中央部の3月25日街やサンタ・エフィジェニア街で電気製品を扱う中国人商店主らから金銭をゆすり取っていた疑いや、殺人、誘拐に関わっていた疑いがもたれている。
 調査によると、恐喝の被害に遭っていたのは、3月25日街にある大衆ショッピングモール内の電気製品店主らで、被害は月額5千~1万レアル(18万~36万円相当)とされる。被害者たちは、ブラジルには職があると言われて中国からやって来たときの旅費や警備費の名目で金を請求されており、拒否すると報復が待っていた。
 DHPP担当警部のエリザベッチ・サトウ氏によると、マフィア摘発のきっかけは2015、16年に発生した3件の中国人殺人事件で、「捜査を進めていく内に、殺人犯たちが恐喝、誘拐、違法賭博、奴隷労働や売春を目的とした人身売買に絡んでいたことを突き止めた」と言う。
 中国マフィアの存在を警察に疑わせるきっかけとなった殺人事件の一つは、16年3月にサンパウロ市北部で起きた中国人夫婦襲撃事件だ。同件では、夫婦が乗った車が信号で停止した際に、バイクに2人乗りした男たちが近付いて銃を乱射した。妻は5発を浴びて即死。男性も16発被ったが助かった。実行犯は中国マフィアに雇われたパラグアイ人で、殺害後にパラグアイに逃亡した。
 「15年と16年に発生した殺人事件の被害者たちは支払いを拒否したか、支払いを行える状況になかったことで殺された」とサトウ警部は説明した。支払いを拒否したために、暴行されたり商品を盗まれたりした人、店を破壊されたりした人もいる。同警部によると、10人の恐喝被害者が割り出せたのは、中国語を解す中国系ブラジル人の警部がいたおかげだという。
 しかし、多くの被害者は報復や不法滞在が発覚することを恐れたり、ポルトガル語を解さないために被害届を出せずにいるため、実際の被害者はずっと多いと推定されている。
 奴隷労働や性的搾取目的での人身売買疑惑に関する捜査は継続中だ。
 8日の捜査では、20件の逮捕令状と、33件の家宅捜索令状が出された。同日は、14人が逮捕された他に、拳銃7丁(内2丁は消音装置つき)も押収された。逮捕劇はサンパウロ市と、サンパウロ州沿岸部のグアルジャー市で行われた。マフィアのボスと目されているリュー・ビトン氏は逃亡中だ。

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