エンリケ・メイレレス財相は9日、年金制度を含む社会保障制度改革に関し、「実行しなければ国は債務不履行に陥る」と警鐘を鳴らした。だが、与党勢力の民主社会党(PSDB)の議員らが、連邦政府が提出した改正案の緩和を望んでいるという。10日付現地紙が報じている。
メイレレス財相は9日、エスタード紙が主催するサンパウロ市でのイベントで、社会保障制度改革の必要性を強く説いた。
同財相は、1991年は国内総生産(GDP)の3・3%だった社会保障費が、今日では8・1%に達し、10年後には17%に至ると説いた。
また、社会保障費や教育費、保健費は急速に増大しており、現行制度のままではその他の予算が圧迫されると強調した。
2017年の財政支出の目標は1390億レアルの赤字だが、財務省は近日中に、現在以上の経費削減か増税をはかる必要があるか否かを検討することになっている。
従って、「女性の年金受給年齢引き下げ」との声についても、「そうすれば、男性の受給年齢引き上げなどの措置が必要になる」と、厳しい見解を示した。そして、「社会保障制度改革を実行しなければ国は債務不履行に陥る」とも語った。
また、同席していた社会保障局長のマルセロ・カエターノ氏も、「(現在提案中の改革案が大幅変更されれば)大統領が代わる2019年以降、より厳格な社会保障改革が必要となるはずだ」との言葉で改革の必要性を説き、「議会が大幅変更しないことを願いたい」と訴えた。
だが、労組のフォルサとつながりのあるサンパウロ州金属労働者組合のミゲル・トレス会長は「重大な危機の最中なのに、連邦政府は年金制度や労働法の改革を急ぎすぎだ」と批判した。同労組は、労働者党(PT)との繋がりの深さで知られている。
だが、今法案に関しては、連立与党のPSDBの議員たちまでが修正を求めているという。彼らはアルトゥール・オリヴェイラ・マイラ下議(社会大衆党・PPS)が報告官をつとめる改正法案に関し、四つの変更を求めている。
PSDBが変更を求めているのは、新しい年金制度を「女性は45歳以下、男性は50歳以下の人に適用する」という部分と、家族1人当たりの収入が最低賃金の25%以下の高齢者や障がい者への補助金給付基準を厳格化しようとしている部分、農業従業者も都市部の住民と同基準で給付するという部分、49年以上積み立てないと年金を満額受給出来ないという部分の4点だ。
連邦政府は連立与党内でも不満があることを認識済みで、13日に、前立腺摘出手術から復帰予定のエリゼウ・パジーリャ官房長官とPSDB党員でもあるアントニオ・インバサイ大統領府事務局長官、上下両院政府リーダーの4者会談を行う予定だ。