リカルド・バロス保健相が14日、肥満解消のための取組みについて話す際、「母親が家にいないため、最近の子供は皮をむく事さえ知らない」と語り、顰蹙(ひんしゅく)を買っている。
「母親が家にいないから、昔のように、子供達が家事について習う機会がなくなった」「皮のむき方さえ習えない」という同相の発言は、健全な食習慣を身につける意味で、加工品ばかり食べずに、自分達で調理したものを食べるように勧める目的で行われた。
2013年に保健省が行った栄養関係の全国調査によると、ブラジルでは、5歳以下で炭酸飲料を頻繁に飲んでいるという子供が40・5%、2歳以下でクリームなどをはさんだビスケットを頻繁に食べている子供も60・8%いた。
食生活の過ちは、適正体重を上回っている子供が3人に1人という、憂うべき数字となって現れている。ブラジル政府はここ数年、肥満対策の一部として、加工食品に含まれる塩分を減らす対策を推進してきた。
また、教育省と連携し、学校で食生活の基本的な知識を教えるといった対策も講じている。今回の問題発言も、教育省の協力も得て肥満対策に取り組むという話をする中で出てきたものだ。
同相は「加工食品の袋を開ける回数を減らし、果物や野菜の皮をむく回数を増やさなくては」とも発言しており、食習慣の転換をと訴える趣旨には同意できる。
だが、一連の発言の中に父親への言及は一度もなく、良い食習慣を身に着けるためにも不可欠な家事などを教えるのは女性だけの役割であると信じて疑わない姿勢が問題視された。
保健相がこの日提唱した肥満対策の柱は、2019年までに肥満増加率を減少に転じる、炭酸飲料や人工タイプのジュースの消費量を30%減らす、果物や野菜を定期的に食べる成人の比率を最低でも17%に引き上げるの三つだ。これは、2025年までにより健康的かつ持続可能な食事をとの国連関連機関の呼びかけに応じたものだ。
だが、保健相は、これらの目標をどうやって達成するのかには何も言及しておらず、この点でも批判を浴びた。
今回の保健相の発言は、テメル大統領が国際女性デーの8日に「家事は女性の仕事」と言わんばかりの発言をして顰蹙を買ったのに続く、失言と言える。
保健相は昨年8月にも「男性が医者に行く率が低いのは、男性が長時間働いているから」と発言し、実の娘に「女性の方が1週間につき5時間も長く働いているのに、実態を無視した発言だ」と批判されるという失態を犯している。(15日付エスタード紙などより)
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