めぐみ教室の大上先生に、日本語支援の特別学級を担当することについて、どう考えるかを聞いてみた。
「必要だし、とてもやりがいのあることとは思いますが、ずっとここにいられるわけでもないですからね。教員なので担任も持ちたいですし、ほかの授業も受け持っていて、これだけに集中することができない」とのもどかしさを打ち明けた。
「学校内の日本語支援で何が足りないか」という質問には、「もうひとりわたしが欲しい」と即答。30人以上の子どもたちの日本語を一刻も早く授業についていけるよう目指さなくてはいけない。決められたスケジュールがない、作れない中での指導は大変なものだろう。
支援員やボランティアもいるといっても、児童ひとりが日本語指導を受けられる時間は限られている。
サバイバルの日本語と授業についていくための初期の日本語を指導するのにやっとの状況で、学習言語としての日本語の支援や、文科省が制作したJSL(第二言語としての日本語)カリキュラムを利用するところまでは程遠い。
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翌日、西小学校を卒業した生徒が進む、清水中学校(芹澤照平校長)を訪ねた。
同中学校は西小を含め、3つの小学校から生徒が集まり、全校614人。そのうち外国籍はフィリピン、ブラジルなどの23人で、クラスに1~2人程度だ。
静東教育事務所から、フィリピノ語、スペイン語、ポルトガル語、中国語が話せる相談員がそれぞれ毎月1回ずつ派遣されている。
相談員の来る日は、1時間ずつ個別に対応されるが、学習支援ではなく、自由に母語で話すことができる息抜きが主な目的だ。必要に応じて、相談員のほうから学校へ、生徒の要望や悩みが伝えられるという。
授業中は、日本語支援に限らず、授業に不安のある生徒が希望を出し、一人の支援員が1時間ずつ該当の生徒がいる教室を回って補助にあたる。
支援員の芹沢淳子さんに話を聞いた。芹沢さんは、西小学校でも6年間教壇に立っていた元教諭。今年度は町から特別支援員として、同中学校に派遣されている。
月曜から金曜、1から5時間目まで、授業ごとに別の教室の支援に入る。クラスによって対象が一人のことも数人の場合もある。
「なんとなくやれると思っていましたが、そんなことはありませんでした。実際に入ってみて、先生の支援ではない、子どもに指導するのでもない、先生に合わせながら子どもの困っていることに寄り添う、ということが少しずつわかってきました」と支援員としての対応も難しさを話す。
授業中の様子を見ていると、担当教員の授業を遮らないよう、配慮している様子が感じられた。また、生徒の机の横にぴったりといられるわけではないので、逐一解説ができるわけではなさそうだ。
技術などの実技科目にも支援に入り、作業中に説明などをしながら手伝っている。
「50分見守って、その時を助ける。続けて同じ授業に入れるわけではないので、次回の授業は困るだろうなというときは悩みますね」。(つづく、秋山郁美通信員)