連邦警察が2014年3月17日に7州で行った汚職摘発劇、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)から丸3年が経過した。
14日には、オデブレヒト社関係者の報奨付供述に基づき、最高裁で扱うべき人物に関する捜査開始要請だけで83件というまとまった数の要請書も提出された。
パラナ州クリチバのLJ特捜班は連邦検察官約30人からなり、次々に展開される作戦は第38弾に至った。2015年10月にLJ裁判の見通しなどを訊かれ、「今年中に終わって欲しい」と漏らしたパラナ地裁のセルジオ・モロ判事は、今年3月、「通常の犯罪事件の裁判は捜査開始から6カ月~1年で終わるが、LJは今も捜査が続いており、いつ終わるか分からない」と語った。
LJの発端は2008年に始まったメンサロン絡みの捜査で、アウベルト・ユセフ、カルロス・アビブ・シャテルといった闇両替商4人を各々の頭とする犯罪組織が、ペトロブラス(PB)などに絡む不正に関与している事が判明。ミケイアスと呼ばれる作戦も行われたが、ユセフ氏が大規模な不正に絡んでいる事を掴んだ連警は、その作戦でユセフ氏を捕えず、泳がせて捜査を続けた。
その結果、パウロ・ロベルト・コスタPB元供給部長らとの関係も掴んだ連警が、関係者逮捕に踏み切ったのが14年3月のLJだ。だが、LJの対象はその後、PB絡みの不正という枠を大きく越えた。
故テオリ・ザヴァスキ判事の事故死で最高裁のLJ報告官になったエジソン・ファキン判事が、テオリ判事の生前に、アングラ3原子力発電所などに絡む不正を担当する事になっていたのも、LJの対象が予想以上に広がった証拠の一つだ。
LJの対象は、保健省などの官公庁絡みの事業契約、リオ五輪絡みの公共事業契約、鉄道絡みの事業契約など、捜査が進むごとに範囲が広がっており、現在の特捜班はパラナ州クリチバとリオ州で活動している。
LJで摘発された疑惑企業はオデブレヒトやOASなどの建設大手も含み、政治家や企業家など計198人が逮捕され、現在も23人が刑務所にいる。また、罰金や司法取引で支払いが約束された金は102億レアル、凍結された資産額は32億レアルに上る。
最高裁が承認した司法取引は127件、パラナ地裁と最高裁に起訴されたのは328人、パラナ地裁で有罪となった人は89人、最高裁で被告となった連邦議員は5人、最高裁が起訴状を検討中の議員も11人いる。
14日に検察庁が提出した捜査開始要請など、計320件の要請書は最高裁内の登録手続きを終え、20日にファキン判事の手に渡る。同判事の判断後、地裁や高裁送付分も含めた捜査が始まれば政界は更に慌しくなるだろうが、検察官や国民は、汚職を犯罪と認め、政界も含めた浄化が行われる事を望んでいる。
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