支援員の芹沢淳子さんは教員と支援員の両方の立場を体験して気づいたこともあるという。
「やはり、先生には見せない面を支援員には気軽に見せられるということもあると思います。『じゅんこー!』なんて呼ばれたりして、明らかに気楽な存在。わたしのほうも、限られた時間しか見られないし、教師という立場ではないけれど、精一杯見守って感じ取って助けていきたい」。
また、「小学校にいたので最初は雰囲気の違いに面くらいました」と言う。
「中学生は恥ずかしい気持ちが出てくるので、『わからない』とはっきり言わない。小学生は、友達を助けると褒められて、そうすると喜んでもっと助けますが、中学生は自分のことで精いっぱい。違うんだな、と思いました。英語が通じるから外国の子にしゃべってみ?と声をかけても近づかないんですね。中学校から来日すると(日本語・勉強面だけでなく)友達作りも大変」。と小学生と中学生の違いを指摘する。
支援員のつかない授業で、どうしても日本語で理解できない場合は、漢字の書き取りなどの別メニューを教科の担任が指示することもあるという。
また、定期試験では、ルビを振ったり、どうしてもわからない場合は可能なテストだけ受けさせたりする対応をとっている。もちろんその分、成績は下がってしまう。
芹澤校長は、「今は、日本語の支援としてはほとんどできていないのが現状です」と話す。
「中学校になるとさまざまな問題が起きてきます。不登校も残念ながら多い。今のところは、魅力的な授業をして、生徒に学校に来てもらう、という方針。それが教師の本分でもあります」。
確かに不登校や情緒障害、家庭や生活の諸問題は中学校で顕在化し、学校としても個人としても小学校のときのより複雑な問題が増えるだろう。
しかし、中学の学習内容は小学校より当然難しくなり、その分日本語力が付いていなければ、まったく授業についていけなくなる。日本人生徒なら高校進学が98%に上る昨今、高校に進学しないことは、日本の社会で生きていく中で大きな足かせになりうる。
芹澤校長は「中学の進路は『出口選び』または『出口指導』(どこの高校に進学・合格させるか)と言われることが多いが、「生き方指導」でなくてはならない。卒業しても学び続けていけるよう指導したい」と強調する。だが、日本語がままならなければ、自分の将来設計すら思うようにできないのではないか–。
小学校でのサポート体制がプツリと途絶えることにもどかしさを感じ、もう一度西小へ向かうことにした。(つづく、秋山郁美通信員)