17日朝、連邦警察の「カルネ・フラッカ作戦」が行われ、大手食肉加工会社関係者や農務省監督官らが逮捕された。この捜査では、世界的企業のJBSやBRFなどを含む食肉会社が、賄賂と引き換えに、肉の認可基準などを甘くしてもらい、不正行為を行っていた疑惑が摘発された。同捜査で国内の消費者がパニックに陥った他、諸外国もブラジルからの肉の輸入差し止めなどの混乱が生じている。18~20日付現地紙が報じている。
「カルネ・フラッカ作戦」は7州と連邦直轄区で展開され、予備拘束と一時逮捕を合わせた逮捕令状38件、強制連行の上で供述を取るための令状77件、家宅捜査や物件押収のための令状194件の計309件の令状が出され、警察官も1100人動員された。
連警によると、計32の食肉会社や加工工場が不正を働いていた疑いで捜査対象となった。その中には、フリボイ、セアラ・ブランドで知られるJBS、サジア・ブランドで知られるBRFという、ブラジルの2大食肉大手が含まれているのが目を引く。
連警は2年間の調査により、「ターキーに大豆タンパクを入れる」「古くなった肉の臭いを化学薬品で消し、再包装して売る」「ひき肉に段ボールの紙を混ぜる」「ソーセージに豚の頭の肉を混ぜる」「食肉の重量を増すために水を加える」などの不正が行われていたことを突き止めた。
農務省は17日、サルモネラ菌のついた肉を欧州に輸出した疑いのあるゴイアス州ミネイロスのBRF社の鶏肉加工場、サンタカタリーナ州ジャラグアー・ド・スルとパラナ州クリチバにある、ソーセージで有名なペシン・アグロインドゥストリアルの工場の営業停止を命じた。
これらの不正行為は、各州の農務省監督官が賄賂と引き換えに、監査もせずに衛生管理上の認定証を出したりして、不正な処理を行った肉や加工食品の製造を容易にしたことで起きた。農務省地方監督官に支払われた賄賂は、民主運動党(PMDB)や進歩党(PP)に流れていたという。
PMDBはテメル大統領の党で、PPは連立与党の大型党だが、連邦政府としてより気がかりなのは、法相に就任したばかりのオスマール・セラーリオ氏(PMDB)が下議時代、パラナ州の農務省監督官に電話をかけて「偉大なるシェフ」と呼んでいたことが電話の盗聴記録で判明し、疑惑の政治家のひとりではと疑われていることだ。
農務省は17日、事件に関係した職員33人を解雇した。また、JBSやBRF、ブラジル蛋白動物協会などが次々と謝罪と釈明の声明を出した。
だが、国内の消費者の間では捜査を受けた食肉会社の商品不買の動きがはじまり、EUや中国などもブラジル産の肉の輸入を禁止する方向で動きはじめた。JBSやBRFの株価も暴落している。