3月の同町議会では、来年度から西小、清水中にそれぞれ一人ずつ支援員を配置するための予算案が審議される予定だ。
教育総務課によると、ポルトガル語とスペイン語が話せる支援員と、フィリピノ語が話せる支援員二人が、西小と清水中を中心に入り込み支援をするほか、必要に応じて町内の他の小中学校へも回り、日本語の苦手な父兄のために保護者面談などにも入ってもらいたいとのこと。
「はじめこそ時間は少ないが、実績を作って徐々に増やしてもらいたい。まずは予算が通らなければ。支援員さんもいろいろ当たって探しています」。(教育総務課)
これまで、外国につながる子どもたちへの対応や日本語支援に関し「非協力的」「関心がない」「支援が足りない」などと学校や市町が批判される声はよく聞かれた。だが、学校、さらに言えば先生一人ひとりが今以上に何かをするということは、もはや求められない。
しかし、多少の無理があっても学校からは外へ向けて助けを求めにくいのが現状だ。その結果、負担は教員にのしかかり、子どもたちには十分な支援ができない。
日本語支援学級にしても特別支援学級にしても、それぞれの専門ではない一教員が担当している。小学校でも中学校でも「教える」だけでない仕事を複数抱えている上に、専門性が求められる分野まで含めて年度ごとに配置が変わる恐れがあるのだ。
学校だけでは足りないから補うのが当たり前ということを、学校も地域も自治体も共通に認識し、摩擦を恐れずに繋がりを太くしていかなければ、多様な子どもたちは受けとめきれない。
例えば、保護者が働く職場も、地域の一部だ。
多くの父兄が働く工場を持つ会社に、地域の学校や子どもたちへ、何らかの社会奉仕や支援があるかと聞いたところ、「弊社にはひとりも外国人が勤めていない。派遣社員なので無関係」という返事が返ってきた。
多くの外国人から労働力を受けておきながら、その子どもたちや地域の学校に無関心でいるのは、都合がよすぎるのではないか。
だが、様々な場所で変化の兆しも見られる。
静岡県(川勝平太知事)は、これまで1クラス35人学級編成(法律で定めている1クラスの児童・生徒数の上限は40人。小1のみ35人)を全国で先駆けて進めてきたが、これまであった「下限25人」を来年度から撤廃する方針だ。
これは1学年が36人の場合、これまでは下限があったために36人の1クラスだったものが、18人2クラスになるということ。
また、同知事は今年1月の抱負で、「義務教育を終えたら、みなパスポートを取得し、10代のうちに海外経験をして、やがてグローバルに活躍する人材になってほしい」と語っている。
さらに3月の議会では、外国人の子どもの教育支援を目的とした新たな基金を同県の国際交流基金に設置する方針を表明。1千万円を拠出金として計上し、地域の企業や団体からも寄付を募る方針だ。
県としてグローバルな人材を推奨する機運が高まる中、子どもたちをとりまく教育改革には、小手先でない包括的な取り組みが望まれる。それと同時に専門性と長期計画を取り込みやすい枠組み作りや国籍・言語・障害で例外とされることなく、ひとりひとりと体温が伝えあえる支援を実現させてほしい。(終わり、秋山郁美通信員)