ラヴァ・ジャット作戦の最重要被告のひとりであるオデブレヒト社元社長のマルセロ・オデブレヒト被告が、今月1日に選挙高等裁判所で、「ジウマ前大統領(労働者党・PT)は14年の大統領選キャンペーンでのカイシャ2(秘密口座)のことをすべて知っていた」と証言していたことがわかった。24日付現地紙が報じている。
オデブレヒト被告の証言はまだ守秘事項だが、23日に「アンタゴニスタ」という政治系のサイトに掲載された。
同被告は1日、14年大統領選でジウマ/テメルのシャッパ(連名式名簿)が不正献金を受けていた疑惑の裁判に証人として出廷した。
同被告によると、ジウマ氏は「何の疑いの余地もない」ほど明確に同社からの献金の全容を知っており、選挙参謀だったジョアン・サンターナ被告のカイシャ2に振り込まれた金の大半は同社が払っていたことも承知していたという。
同件の報告官で、当日の公判を取り仕切ったヘルマン・ベンジャミン判事の「ジウマ氏と直接、献金の話をしたか」との質問に、同被告は「会ってはいない」と答えた。しかし、「ジウマ氏は友人を介して全容を知っている」と答えた。
また同被告は、14年3月のラヴァ・ジャット作戦開始後、ジウマ氏や側近に、「サンターナ氏の外国口座に振り込まれた献金は賄賂の可能性があるから気をつけろ」と忠告していたという。
また、14年のジウマ氏の選挙戦への献金はすべて、同被告自身が取り仕切ったと明言した。支払った賄賂の総計は1億5千万レアルで、その内の5千万レ分は10年の大統領選の経費を遅れて払った分だという。
ジウマ氏への献金の話の仲介者はPT政権の歴代財相であるアントニオ・パロッシ氏やギド・マンテガ氏で、〃ポス・イタリアノ〃ことマンテガ氏は14年に、「ジウマ氏が『今後の献金はPTではなく、彼女のキャンペーン費用としてサンターナと(選挙戦の会計担当)エジーニョ・シウヴァに払え』と言っている」と伝えてきたとも証言している。
また、同被告は当時のテメル副大統領と現・官房長官のエリゼウ・パジーリャ氏とも会い、同社が民主運動党(PMDB)に払う献金の話もしたと証言した。だが、同被告によると、テメル氏は金額に関しては口にしないまま会議を後にしており、パジーリャ氏と同社の渉外担当副社長だったクラウジオ・メロ・フィーリョ被告との話し合いで献金額などが決まったという。
これらは確かに重要な証言ではあるが、現在、ラヴァ・ジャットでの報奨付証言(デラソン・プレミアーダ)の守秘事項が続々と漏洩していることが問題となっている最中に、輪をかけるように報じられたことも問題視されている。最高裁のジウマール・メンデス判事は今回の漏洩の捜査を求めている。
なお、ベンジャミン判事は22日、同件に関する報告書の一部を選挙高等裁に提出している。