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新日鉄がミナスで柔道交流=銅メダリスト=西山さん3都市で指導=楽しさや技伝え、継続視野に

真剣な表情で指導する西山さん

真剣な表情で指導する西山さん

 【ベロ・オリゾンテ発=小倉祐貴記者】2012年ロンドン五輪の柔道男子90キロ級銅メダリスト、西山将士さん(31、山口)が12日からブラジルを訪れ、ミナス・ジェライス州3都市で柔道指導を行なった。競技を通じた地域交流を目的として、西山さんが勤務する新日鉄住金が実施した。現地ロータリークラブなどとも懇談した西山さんは、「子どもたちが柔道を心から楽しんでいて感激した。もっと交流を図りたい」と充実した表情で帰国した。

 ブラジル鉄鋼大手ウジミナス社の筆頭株主である新日鉄住金は、拠点のあるミナス州での地域交流の充実を図って今回の派遣を行なった。ウジミナスの製鉄所があるイパチンガで13日から柔道指導は開始され、スポーツクラブUSIPAの所属選手や、地元児童に技術を伝えた。
 近隣のサンタナ・ド・パライーゾにも訪れ、50人ほどに指導した。貧困層向けだったといい、地元市民からも貴重な機会と喜ばれた。

サンタナ・ド・パライーゾでも交流した(提供写真)

サンタナ・ド・パライーゾでも交流した(提供写真)

 16日には州都ベロ・オリゾンテのミナス・テニス・クラブへ。リオ五輪代表で所属選手のアレックス・ポンボさん、マリアナ・シルバさんらに対し、崩し方や組み方を熱心に伝え、「技のかけやすい位置がどこか、常に考えること」などと意識付けた。アレックスさんも「両国の柔道を知ることは非常に重要。東京五輪では金を目指す」と意気込みを新たにしていた。
 主な日程を終えた西山さんは、「日本と比べ環境が悪い子もいるはずなのに、楽しそうに取り組んでいる姿が印象的だった」と感激した様子。当地選手へ「将来のためにもぜひ柔道を続けてほしい。礼節にも役立つ。日本文化を知る機会にもなる」と激励した。
 地域交流事業の第1弾として抜擢されたことに関し、西山さんは「とても光栄。メディアを通じもっと活動を知ってほしい」と語り、「両国には深い絆がある。お互いに切磋琢磨する関係を深めたい」と熱く語った。
 今回の柔道交流に関し、南米新日鉄住金の能勢大伸社長は、「真摯に柔道に取り組むブラジル人を見て感動した。イパチンガでウジミナス建設に協力した、新日鉄住金の先輩方も指導した柔道。競技がこの地に根づいていることも再認識できた」と成果を喜び、「西山来訪は柔道関係者だけでなく、地域の皆様からも大変喜んで頂けた。今回に続く交流事業についても検討していきたい」と継続に意欲を見せた。


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 州内随一と言われるミナス・テニス・クラブ。柔道でリオ五輪代表選手を輩出するなど有名だ。初めて現地を訪れると体操、水泳、バレーなど、各種設備が充分すぎるほど整っていて驚いた。さらにびっくりしたのは、道場に講道館柔道の創始者、嘉納治五郎の写真が高々と掲げられていたこと。同クラブの指導者は「ブラジル中、どこの道場にもあるよ」と、さも当たり前のように言い、驚く記者をいぶかしげに見た。「柔道ここにあり!」を感じさせる象徴的な光景だ。