「出来るだけ早く専門病院で手術を受けさせないと助からない」―。現在生後6カ月のブライアン君に重篤な心臓疾患がある事が判明した時、小児科医はこう宣告した。
27日付エスタード紙によれば、両親が裁判所に訴えた事で3カ月後に病床が確保できたブライアン君は助かったが、同様の心臓疾患が見つかったルアン君は、生後70日で生涯を閉じた。
ブラジル統一医療保健システムの小児用病床数は、10~16年に、4万8200床から3万8100床に1万100床減少した。新生児用の集中治療室(ICU、ポ語ではUTI)は新生児1千人当たり4床必要とされるが、ブラジルは2・9床しかなく、3200床不足している。
ICUを含む小児用病床数は、アマパー州とアマゾナス州で20・7%と1・7%増えた以外は10年より減った。最も減ったのはセルジッペ州の50・5%減で、サンタカタリーナ、ロライマ、アラゴアスの3州も30%以上減っている。
ただし、0~19歳の人口に対する小児用病床の割合で見て状況が改善したのはアマパー州のみ(13・3%増)だ。16年の場合、人口比で最も状況が良いのはピアウイ州の1万人当たり10・1人で、最低はロライマ州の2・8人だ。
ブラジル小児科協会によると、小児用病床の不足は保健省の投資不足が最大の原因だという。経営難で病棟を閉じた病院の他にも、医師や看護婦不足で患者を受け入れられない病院もあるという。
一方、保健省は、現在は世界的に救急外来や家庭での治療が増え、入院治療は減る傾向にあるとし、病床数は減っても、ICUなどの複雑な疾患を抱える患者を扱う病床は15%増えたと弁明。
サンパウロ州保健局も、国からの補助金減少で、サンタカーザなど、非営利団体経営の病院の病床数は減ったが、入院が必要な患者も減少中と釈明。年内に完成する病院には、新生児用と小児科用の病床を30床設けるという。
サンパウロ市保健局では、全体の病床数は減少したが、小児用ICUなどは増えたと釈明。また、現在建設中で年内に完成する予定の2病院に小児用病床を117増やす意向だという。
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