ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》食肉不正疑惑問題=ブラジル肉の輸入再開への道は未だ遠く=5月には代表団の世界行脚も=食肉大手株を保有の公的銀行に損失

《ブラジル》食肉不正疑惑問題=ブラジル肉の輸入再開への道は未だ遠く=5月には代表団の世界行脚も=食肉大手株を保有の公的銀行に損失

EU健康食品安全委員会委員長ヴィテニス・アンドリウカイティス氏(左)と会談したマッジ農相(右)(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

EU健康食品安全委員会委員長ヴィテニス・アンドリウカイティス氏(左)と会談したマッジ農相(右)(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 【既報関連】ミシェル・テメル大統領は28日にブラジル農牧連合主催のイベントに参加し、17日に連警が行ったカルネ・フラッカ(CF)作戦によって国内食肉業者の不正疑惑が明るみとなり、食肉輸出などに大きな打撃与えた一連の危機からの脱出に楽観的な見通しを示したと、28、29日付現地サイトが報じた。
 大統領はイベント後に「EU側は食肉輸入の再開に慎重な姿勢も残しているが、マッジ農相が週内または来週中にEUと対話を持つ。また、EUからも検査官が来伯し、検査を行う」と語った。
 大統領の前向きな姿勢にも関わらず、輸入制限解除への道のりは必ずしも明るいとはいえない。
 28日にEU健康食品安全委員会委員長のヴィテニス・アンドリウカイティス氏と会談したマッジ農相は、「アンドリウカイティス氏は、『ブラジルに対してより強い制限をかけるように、内部圧力を受けている』と語っていた」と明かした。
 同農相は29日午前、「EUは食品輸入に関する規制を厳しくする可能性もある」と語り、EU側がブラジル産の食肉輸入へのハードルを高くする可能性も示唆した。
 同農相はまた、5月に政府、企業、関連機関が代表団を結成し、欧州、中東、アジア諸国を訪問して状況説明を行う予定であることも発表した。
 世界最大の食肉企業のJBSもCF作戦で多大な影響を受けており、29日に、4月3日より国内10カ所の食肉加工場が20日間の集団休暇に入ると発表した。
 集団休暇に入るのはマット・グロッソ・ド・スル州3工場、マット・グロッソ州4工場、ゴイアス州、パラー州、サンパウロ州各1工場で、休暇期間は10日ほど延長される可能性がある。
 また、JBS社の株式を保有していた社会経済開発銀行(BNDES)と連邦貯蓄銀行(Caixa)は、JBS社の株価大幅下落によって、10億レアル(360億円相当)以上の損失を出した。
 BNDESはJBS株の21%、Caixaは4・92%を保有していた。17日のCF作戦発動から28日までに、JBS株は12・3%下落した。これにより、BNDESは時価総額換算で8億5500万レアル、Caixaは1億9700万レアルを失った事になる。
 BNDES側は「今、CF作戦の影響を云々するのは早計だ」と語り、Caixaも「JBS株購入価格はCF作戦後に値下がりした額よりも低かったので実質的に損害は発生していない」と発表した。