【既報関連】外国在住の日本国籍者へのJRパス販売停止が始まる直前の3月31日、同グループは、10年間以上外国に住む在留邦人はこの6月から東京五輪の年の年末まで、今までどおりにJRパスを使えるようにすると発表した。高齢化した移民が五輪を機に家族を連れて里がえりすることを尊重し、その間だけJRパスを使えるようにすると、JR側が譲歩した格好だ。日系社会の代表団体が嘆願書を送った成果であり、喜びの声が広がっている。
昨年11月11日、JRグループはこの4月から日本国籍所持者へのジャパン・レール・パス(以下JRパス)の販売を停止すると発表した。それに反発し、ブラジル日本都道府県人会連合会を先頭に、ブラジル日本文化福祉協会なども嘆願書を送った。サイト上では世界的な署名活動が行なわれ、3月末には初期目標の7500人を超えていた。
それらを受けJRグループは3月31日、「『日本国旅券』と『在留期間が10年以上であることを確認できる在外公館で取得した書類』があれば日本国外でも6月1日~2020年12月31日まで引換券の購入ができる」と発表した。
10年以上外国に在住する永住者には、期間限定で利用再開を認めるとの再変更だ。
県連の山田康夫会長はこの発表に、「我々にも日本から連絡があった。とても良い報せ。3年間の利用再開だが、我々の主張が多少なりとも受け入れられたようで嬉しい。日本の方々に日系社会の価値を認めてもらえた」と喜びを語った。
県連に続いて嘆願書を送った文協の呉屋春美会長は、「県連や文協など各日系団体など日伯間を頻繁に移動して活動している人が楽になり、文協職員も喜んでいる。日本移民の存在を理解してくれたようで嬉しい」と語った。
サイト上で署名活動を行なう「JRパスを考える在外邦人の会」主宰者は「私達やブラジルのコロニアの声が届いた成果。在外邦人の存在を日本の大企業に認めさせることができた大きな前進。不平等が生じない利用資格の設定のために今後も私達当事者の声も聞いて欲しい」とのコメントを本紙に寄せた。
なお、『在留期間が10年以上であることを確認できる在外公館で取得した書類』が具体的にどれなのかを示す情報は、5月下旬にJRパスサイト(http://japanrailpass.net/index.html)での発表される予定。
また、日本国内でのJRパスのチケット引き換えは、6月1日~2021年3月30日まで。値段は現行の販売金額と同じ2万9110~5万9350円となる。ただし、この4、5月の間は購入不可なので要注意。
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日本国有鉄道は1987年4月1日から民営化。その記念すべき「国鉄民営化30周年」を迎える前日に、JRパス利用資格の再変更の発表となった。今回の発表により、取材中に「東京五輪に行きづらくなる」と語った多くの人が2020年も日本に行けるようになった。また「JRパスを考える会」のフェイスブックページでも、「疑問はあるが良い報告」と好意的に取り上げられている。