【既報関連】ベネズエラの最高裁は3月29日に同国議会から立法権を奪う決定を下したが、国内外からの批判を受け、1日にその決定を取り消したと、1~3日付現地紙が報じた。
同国最高裁は3月28日に出した議員の不逮捕特権を剥奪する決定と、マドゥーロ大統領に対して、反組織犯罪、テロリズム対策法案を自由に制定する権利を認める決定も取り消した。
同大統領は最高裁が議会から立法権を剥奪する決定を出した3月29日以降、国内では反独裁デモ、国外からも反民主主義だとの強い批判にさらされ、最高裁に対してその決定を取り消すように勧告していた。
「議会から立法権を剥奪するとの決定を取り消す」ことは、首都カラカスで予定されていた野党側(反マドゥーロ大統領派で、議会では多数を占めている)の抗議行動の数時間前に報道された。
だが、反大統領派は、司法に立法府の独立尊重を求め、現在の政治的混乱に終止符を打つための唯一の手段としての総選挙実施を要求する意味で抗議行動を決行した。
1日にはアルゼンチンのブエノス・アイレスで、南米共同市場(メルコスール)参加国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)の外相会談が開かれ、ベネズエラでは三権分立が保たれていないとし、民主主義条項発動を決議。同国のメルコスール協定の権利を停止させた。
アルゼンチンのマルコーラ外相は、「これはベネズエラの追放を意味するものではないが、同国の状況を今後も注視しつつ、対話によって解決への道を探っていく」と語った。外相たちは、マドゥーロ大統領に対して、総選挙実施の日程を守ることと、政治犯の釈放を求めた。
ブラジルのアロイジオ・ヌネス外相は、「今の流れは最悪の場合、ベネズエラのメルコスール追放につながりかねないが、そうならないことを望んでいる」と語った。
4月2日にマドゥーロ大統領は、首都カラカスでの反政府デモを行った勢力をハイエナと呼んで激しく非難した。
同大統領は1時間以上に及んだテレビ演説の中で、反対勢力を「理想もなく、破壊、暴力活動をわざと国外メディアに見せ付けて、国を乱す犯罪者」と位置づけ、野党勢力を「米国や隣国と結託して政府を倒そうとしている」と非難。メルコスール諸国に対しても、「パラグアイでは、大統領再選を認める改憲に反対したデモが国会議事堂に火を放つほど混乱しているのに、『民主主義条項に違反』と非難しないのか」と矛先をむけた。
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