ブラジルでは、インフレ抑制とそれに伴う政策金利低下、国外格付け会社による評価の見通し・改善など、景気改善兆候を示す指標が徐々に出てき始めているが、失業者数、失業率は未だに改善されていないと1日付現地紙が報じた。
ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査によると、今年2月末までの直近3カ月間の失業者数は1354万7千人で、統計史上、最多となった。2014年2月末時点の失業者は662万3千人だから、失業者数は3年間で2倍以上に増えた事になる。
この間の失業率も、2016年2月末までの直近3カ月間の10・2%から、13・2%へと上昇した。この数字も統計開始以来、最大だ。
工業界ではこの3年間で、ほぼ200万人分の雇用が失われた。IBGEの労働と所得部門コーディネーターのシマール・アゼレード氏は、「工業部門は、疑いもなく、この不況による雇用不振の影響を最も受けている部門だ」と語った。
コンサルタント会社パラリシス社の主席経済分析員、ラファエル・レオン氏は、ブラジルの雇用不振は第3四半期まで続き、失業率は13・6%まで上がると予想した。
同氏は3月29日にブラジル政府が発表した、各企業への社会保障費納付軽減策廃止が、雇用回復の足かせになるとしている。
建設業界もこの3年で100万人分以上を解雇しているが、工業や建設といった主要産業の雇用減は正規雇用の伸び悩みも引き起こしている。
14年6月には3690万人の正規雇用労働者がいたが、今年2月は3370万人に減った。