ブラジル連邦下院は4日、Uberや99taxiなどの、スマートフォンでタクシーを呼んで利用できる配車サービス会社に関する規制法案を可決したと、4、5日付現地紙が報じた。
法案の基本部は、Uberなどのタクシー配車システムを認めるものだったが、その後可決された二つの修正案は、〃Uber潰し〃とさえいえる内容だった。
修正案の一つは、「Uberなどの配車サービスは私的企業活動である」の条文を削除した上に、「移動に使われる車両は配車サービス会社からレンタルしているものとする」と定めた。これで、Uberなども赤いナンバープレートを使わねばならなくなる。
もう一つの修正案は、Uberや類似サービス会社のドライバーに、営業する市の当局から営業許可を得、許可証を携行する事を義務付ける。
政府与党は所属議員に「修正案に反対せよ」との支持を出していたが、これに従わない議員が続出した。しかしながら、テメル大統領は、同件に関しては中立だと語っている。
ブラジルUber広報部長のファビオ・サッバ氏は「議会で承認されたものは規定ではなく、(Uber)禁止だ」と語り、「上院では、インターネットを使った新技術が新しいサービスを作り出し、そこに雇用が生まれ、顧客サービスも向上し、料金が安くなっていることが是か非かという側面からの議論が継続され、多くの国民に選択の自由が与えられることを望む」と発表した。
サンパウロ州タクシー会社ドライバー労働者組合会長のアントニオ・マティアス氏は、「配車サービス会社が、各自治体が管理する公共交通機関扱いとなるだけの事。我々にとっても、配車サービス会社の運転手にとっても、顧客にとっても悪い事など一つもない」と語った。
Uberは2009年に米国で始まったサービスで、建前上は、「一般ドライバーが自家用車で他人を運び、謝礼を受け取っている。Uberはドライバーと客の橋渡しをしているに過ぎない」というものだ。
客と運転手は相互にマナーを評価し合い、その結果も他の利用者に共有されるため、マナー向上につながる。また、タクシー会社が支払う税金を免れているために料金も安く、運転手からも、空き時間で気軽に収入を得られると支持を得ている。
ブラジルでは14年5月にリオデジャネイロ市で、同年6月にはサンパウロ市でも営業が開始されたが、競合タクシー会社からの反発は強く、これまでに、反Uberの抗議行動や、Uber車をおびき寄せての暴行事件も発生していた。