オデブレヒト社元社長のマルセロ・オデブレヒト被告が10日、パラナ州連邦地裁で開かれたラヴァ・ジャット作戦(LJ)関連の裁判で、かねてから噂のあった同社の賄賂分配表に書かれていたコードネーム「アミーゴ」がルーラ元大統領のものであることを認め、さらに諸々の贈賄行為を行ったことを認めた。11日付伯字紙が報じている。
報道によると、マルセロ被告はパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に対し、同社がルーラ氏や労働者党(PT)に対して行ってきた贈収賄の事実を次々と認めた。
この裁判は、労働者党(PT)政権で財相や官房長官を歴任し、収賄や資金洗浄などで逮捕されているアントニオ・パロッシ被告とマルセロ被告ら、計15人が絡んだ贈収賄疑惑に関する裁判で、パロッシ被告には計1億2800万レアルが払われたという。
マルセロ被告はその供述で、パロッシ被告の側近だったブラニスラフ・コンチック被告が2012~13年に現金で引き落とした1300万レアルは、ルーラ氏への賄賂だったと語った。
同被告はさらに、ルーラ研究所に対して400万レアルを横流ししたとし、同研究所の敷地や建物購入のために1240万レアルを投資したとも発言した。
また、パロッシ氏の後任で、ルーラ、ジウマ両政権で財相をつとめたギド・マンテガ氏にも、ジウマ氏の大統領選キャンペーン費用として5千万レアルを払ったという。
マルセロ被告は、これまで報道されていた、オデブレヒト社の贈賄分配表のコードネーム、「アミーゴ」がルーラ氏、「イタリアーノ」がパロッシ氏、「ポス・イタリアーノ」がマンテガ氏だったことも認めた。
また、マルセロ被告はジウマ大統領(当時)に対し、選挙参謀のジョアン・サンターナ被告が持っている秘密口座が汚職にまみれていることやLJでこの口座も見つかるであろうことを個人的に伝えるためにメキシコまで行って話をしたが、ジウマ氏は気にも留めなかった、とも話した。
これらの内容は、政治サイトの「アンタゴニスト」が10日付で報じたもので、基本的に守秘事項が漏洩したものだ。同サイトはこれまでもLJの守秘事項を掲載しており、問題視されている。
一方、ルーラ氏側はオデブレヒト社を巡る汚職疑惑への関与を一切否定しており、ルーラ研究所の敷地に関しても、「1991年にIPET社から購入し、〃市民研究所〃と名乗った後、ルーラ研究所に改名しており、オデブレヒトが肩代わりしたなどという記録はない」と否定している。
なお、10日のマルセロ被告の供述は、オデブレヒト社幹部らの報奨付供述が承認された後、初めて行われたものだ。司法取引成立後の同社関係者は、裁判で質問されたら全てに正直に答えることが義務付けられている。