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《ブラジル》政策金利=1%ポイント利下げ決定=更なる利下げのためには年金改革が鍵

イラン・ゴールドファジン中銀総裁(José Cruz/ Agência Brasil)

イラン・ゴールドファジン中銀総裁(José Cruz/ Agência Brasil)

 ブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)は12日、全会一致で、政策金利(Selic)を12・25%から1%ポイント下げて11・25%に引き下げたと、13日付現地各紙が報じた。
 これで昨年10月19日以降、5回連続の利下げとなった。インフレに歯止めがかかっている一方で、景気回復のリズムが期待よりも鈍いことから、市場関係者による利下げペースアップの期待に応えた形となった。中銀は、「現状に則した対応」と評価した。
 1%ポイントの利下げは2009年6月以来のことだ。昨年10月以来継続している利下げにより、Selicは半年未満で3%ポイントも下がったことになる。
 決定直後、ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)はツイッターに「景気回復のペースを速め、雇用回復にもつながる」、「インフレの鎮静化とSelicの下降で、経済活動や生産性、消費も上向く」とのコメントを出した。
 それと共に、エジソン・ファキン最高裁判事が、与野党の多くの大物政治家を含む98人の捜査開始許可を出した事が11日に発覚したことによる動揺を抑える目的か、「必要な改革を、断固とした決意を持って行い、我が国を正しい道につける」とも投稿した。
 市場関係者の間には、次回5月のCopomでもSelicは1%ポイント引き下げられるとの予測が広がっている。
 また、多くの市場関係者は、Selicの行方は年金改革の進行が鍵だとしている。国家財政健全化のための重要課題である年金改革が、骨抜きにされることなく議会で承認されれば、国外投資家からの評価も高まりレアルの安定、インフレ抑制につながり、さらなるSelic引き下げにつながるとの見立てだ。

景気回復ペース未だ高まらず

 地理統計院が12日に今年2月のブラジル小売業者の売り上げは1月と比べて0・2%下落したと発表した。今年1月は昨年12月に比べて5・5%上昇していた。
 経済アナリストたちは今年に入ってからの小売回復の兆しを認めてはいるものの、「小売の回復はまだ弱く、国内総生産(GDP)を力強く引き上げるまでには至らない」「小売はGDPの一部に過ぎない。農業部門はGDP引き上げに貢献するだろうが、工業部門は横ばい」などと語り、今年の経済活動が直ちに回復し、GDP成長に結びつくかに関しては慎重な見方を崩していない。