パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は17日、ルーラ元大統領に対し、同氏の弁護士が要請した87人の証人喚問を認めると同時に、87人が証言する際はルーラ氏本人も裁判に同席するよう命じた。18日付現地紙が報じている。
現在話題のオデブレヒト社の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に基づいたラヴァ・ジャットの捜査命令より前に、ルーラ氏は既に3件の案件で地裁の被告になっている。
その内の一件が、ルーラ研究所の建設用地購入と、サンベルナルド・ド・カンポ市のルーラ氏らの自宅に隣接するアパートを故マリーザ夫人の名前で借りていたが、賃借料は一切払われておらず、実質的にマリーザ氏の所有物だったとされている疑惑に関するものだ。ルーラ研究所建設用地とアパートとは共に、オデブレヒトからの賄賂の一部とされている。
ルーラ氏側はこの裁判の弁護側証人として、社会開発経済銀行元総裁のルシアノ・コウチーニョ氏や企業家のジョージ・ゲルダウ氏、上議2人に下議2人など、計87人の名前を指名した。この数字はひとつの裁判としては異例の事態だ。
モロ判事はその要求への返答として「明らかに行き過ぎた行為で、必然性のないものだ。他の被告の証人喚問もあるのに」と不快感を示しながらも、「だが、弁護側の主張を打ち切るのも避けたい」とし、弁護側の要求を認めた。
だが、モロ判事は同時に、「証言者が証言を行う間は、ルーラ氏も裁判に同席し、全ての証言を聞かなくてはならない」との命令をくだした。これは、ルーラ氏側が再証言を求めるのを避けるための方策でもある。
ルーラ氏は5月3日の裁判で、モロ判事と顔を合わせることになっている。5月3日の裁判は、昨年3月にサンパウロ州検察が提出したグアルジャーの三層住宅の不正購入疑惑に関する審理の一部だ。同件ではルーラ氏への逮捕要求に関する決定権が、ファキン判事を補助している判事は4人いるが、人員増などが図られる。サンパウロ州地裁からモロ判事に渡った際、ジウマ前大統領がルーラ氏を官房長官に任命して逮捕を免れさせようとしたとして、国民の強い反感を買い、ジウマ前大統領の罷免を後押しする事態も招いた。
ルーラ氏の弁護人のクリスチアーノ・ザニン氏はモロ判事の決定後、「被告の立会いは任意のはずなのに、またしても気まぐれな判断をするとは」と不満を示した。
一方、18日付フォーリャ紙によると、オデブレヒトの報奨付供述の内容が明らかにされた後、国際的な左翼勢力がルーラ氏に対して失望を示し始めているという。
その中でも大きなものが米国の哲学者ノーム・チョムスキー氏によるもので、同氏は最近出演したインターネット上の番組で、労働者党(PT)政権が行ったとされるラヴァ・ジャットでの疑惑を昨今のベネズエラの動乱と並べて、「南米での左翼の腐敗」と切り捨てた。同氏は昨年のジウマ氏罷免前、「ジウマ氏の罷免はクーデターだ」と反論していた。