『蜂鳥』335号が刊行された。《真夜中にシンデレラのごと女王花》(井上富貴子)は真夜中に咲く多年草のサボテンのことを読んだもの。シンデレラとは、比喩がユーモラスだ。《書初やフェリースと書き孫の家》(笹谷蘭峯)も、普通に「幸福」と書くのでなく「フェリース」とするところがブラジルらしい。《夏寒し最寄りのバンコに強盗団》(佐藤けいこ)は、さぞや肝を冷やしたことだろう。《ジロー食べ我人生を噛む思ひ》(藤井ひろすけ)とあるが、たまには甘いショコラッテもいいのでは。エッセイでは森川玲子さんが《鼻、花、端、どう発音するか考えるのが大切、と民俗学者の柳田国男は「どんな字病」と名づけて警告》と紹介。「持病」より100倍いいですね。