【既報関連】ブラジル連邦政府は、年金改革を中心とした社会保障制度改革で、組合や与党議員さえからも反対にあい、譲歩を続けていると、19日付現地紙が報じた。
16日朝、閣僚や高官らを大統領宮に集めて行われた年金改革草案の検討会では、「受給最低年齢は男女問わず65歳から」の条件が保たれていたが、19日の下院特別委員会に報告官のアルトゥール・マイア下議(社会民衆党・PPS)が提出した案では、「女性は62歳から」と記された。
政府は警官にも「60歳以上」という年金受給開始年齢を定めようとしていたが、それに抗議する市警組合員たちが18日に下院議会に侵入を試みて議会のガラスを破壊する事件が起きたため、「警官の受給開始は55歳から」と変更された。現行法では、警官には年金受給開始最低年齢は定められていない。
「男性65歳、女性62歳」の受給最低年齢には、移行措置が設けられる。
男性の場合、新年金システム開始の2018年の受給最低年齢は55歳で、以後2年ごとに、1歳ずつ引き上げられる。2038年には受給最低年齢は65歳になる。
女性の場合、2018年の受給最低年齢は53歳で、以後2年ごとに1歳ずつ引き上げられる。受給最低年齢が62歳になるのは2036年だ。
満額受給のために必要な最低限の年金負担期間は、当初の政府案では49年だったが、これも譲歩の結果、40年に引き下げられた。
度重なる譲歩は、年金改革本来の目的である、社会保障にかかる支出を減らすことの妨げとなりかねない。
政府の経済政策チームは、今後10年で8千億レアルの支出削減を見込んでいたが、経済分析員の間では、譲歩を強いられることで、支出削減の幅が20%も縮小するのではないかとの見方も出ている。
アルトゥール・マイア下議(社会民衆党・PPS)は、支出削減のインパクトは既に1700億レアル分も弱まったと概算している。
支出削減規模の減少に関して同報告官と見解を一にするエンリケ・メイレレス財相は18日、これ以上譲歩を引き出そうとする勢力、動きに対して釘を刺すかのように、「譲歩もそろそろ限界」と語った。
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