国際的な人権保護団体のヒューマン・ライツ・ウォッチング(HRW)が18日、14年以降、ブラジルに来たベネズエラ人は1万2千人を超え、ロライマ州では4千人が難民申請枠ができるのを待っていると発表したと同日付G1サイトが報じた。
ロライマ州は同国人が最初にブラジル定住の機会を探す場所で、難民申請するために何カ月も待っているベネズエラ人が4千人以上いる。
連邦警察は今年3月、ベネズエラ人の難民申請は、14年の9件以降、15年230件、16年2230件と急増していると発表した。申請増加はマドゥーロ政権下での経済情勢悪化と動きを一にしている。連警は既に、10月までに4千人の難民申請者と面談する予定を組んだが、ほぼ全員がベネズエラ人だ。ただ、16年に出された申請2230件中、申請書検討は5件だけで、全てがお蔵入りした。
だが、同州の連警前には早朝から申請枠が開くのを待つ人の列が常にあり、約70人の外国人の98%は同国人だ。
3歳の娘を連れた21歳の女性は、4カ月前ロライマ州に来た。車の修理工として働いている夫の呼び寄せで来ており、食料や医薬品さえ不足、仕事もないという母国の窮状が落ち着くまでブラジルにいたいという。理容師を辞め、15日前にブラジルに来た母親(48)は「仕事は見つかった。近い内に労働手帳を申請する。母国に帰るのは全てが正常化してから」という。
同じ列にいた33歳の男性は、半年前まで石油関係の会社で働いていたが、給料遅配で「こんな国では生きていけない」と言ったら、即刻解雇された。「母国では政府の悪口は禁物だが、現政権は全てを滅茶苦茶にした」と言う男性は、2台あった車を1台売って旅費を作り、ブラジルに来たという。今後は家族を呼び寄せ、状況改善を待つ意向だ。
同州内のベネズエラ人の中には医者にかかるためだけに来た人もおり、同国の窮状が窺われる。同州政府は、ベネズエラ人のために仮の収容施設を整えると共に、同国先住民のワラオ族をブラジル側のワラオ族の集落で受け入れる事も検討し始めている。
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