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ブラジルの経済成長=22年までは世界平均以下?=国際通貨基金が新たな予想

 国際通貨基金(IMF)が18日、ブラジル経済の成長は緩やかで、少なくとも2022年までは世界平均を下回るとの予想を発表した。

 IMFの予想では、ブラジルは今年、リセッション(景気後退)を抜け出すが、その後の成長は緩やかで、今年の国内総生産(GDP)の伸びは0・2%、来年も1・7%程度と見られている。

 また、2022年の世界経済は、新興国や開発途上国が5%成長して全体を押し上げ、全体でも3・8%成長すると見られているが、この年のブラジルは2%程度の成長と見込まれており、世界平均を大幅に下回る。同年のラテンアメリカ&カリブ海諸国の経済成長率の平均は2・6%と見られている。

 ブラジル経済の回復を左右する要因として挙げられているのは、政治的な不透明さや金利政策、労働法改正や社会保障制度改革による財政の正常化の3点だ。

 政治的な不透明さは、ラヴァ・ジャット作戦に関するオデブレヒト社の報奨付供述の内容や捜査対象者に関する情報が流れた事で、いや増した感を免れない。

 一方、テメル政権が約束している諸改革や、先週発表された2月の中銀の経済活動指数(IBC‐Br)が前月比1・31%上昇した事、12日の経済基本金利(Selic)の1%ポイント切り下げ、インフレ沈静化といった情報は、今後の見通しを明るくする材料となる。 

 基礎的財政収支の赤字解消は、中・長期的な社会保障制度改革などにより、雪だるま式に膨らむ支出を削減できるか否かが鍵となる。また、いくつかの州の財政が非常事態を宣言しなければならないほど逼迫している事も、経済・財政危機からの脱出を遅らせる要因といえる。

 また、景気後退などで縮小した投資がどの位の速度で回復するかや、輸送面でのボトルネック解消、税制改革、貿易障壁解消も、今後の経済成長を左右する。

 一方、ラ米地区の22年の経済成長率が2・6%程度と見られている理由の一つはベネズエラだ。同年の同国の経済成長率はマイナス1・3%と見られており、ラ米全体の足をひっぱっている。同国のGDPは、2014年に3・9%縮小して以来、15年は6・2%、16年は18%と、縮小傾向が続いている。今年のGDPは7・4%、来年も4・1%のマイナス成長となる見込みだ。同国の経済成長は、政治的な安定の回復が第1条件とされている。(19日付エスタード紙などより)