ベネズエラで19日、今年最大規模の抗議行動が起き、反体制派2人と国家警備隊員1人が死亡したと20日付ブラジル国内紙が報じた。
同国では、3月17日に最高裁が議会の権限を取り上げる(3日後にこの決定を撤回)、4月17日にも野党リーダーのエンリケ・カプリレス氏の政治活動を15年間禁じるなど、反体制派への圧力が強まっている。
同国では、昨年12月に行われるはずだった地方選実施などを求める反体制派や、それに対抗する体制派のデモが頻発している。どこかで抗議行動が繰り返される状態は既に3週間に及び、死者も9人出ている。
19日の抗議行動は最大規模で、カラカス市内で17歳青年、コロンビアとの国境に近いタチラ州サンクリストバル市でも24歳の女子学生が、ミリシアと呼ばれる体制派の武装集団による銃弾を頭部に受けて死亡、270人(400人との報道もあり)が身柄を拘束されたという。
カラカスでのデモは26カ所を起点とし、市中央部を目指したが、体制派の国家警備隊や警官らが催涙ガス弾や高圧水噴射などで鎮圧。反体制派は投石やゴム弾、火炎瓶などで対抗した。
体制派のミリシアは1千人とも3千人とも言われていたが、マドゥーロ大統領が17日に5千人に増員し、反体制派のデモ鎮圧にも投ぜられた。
19日は、カラカス南部でのデモ鎮圧に出動して被弾した国家警備隊員1人も死亡。体制派リーダーのディオスダド・カベロ氏は、「カプリレス氏と野党各党はなすべき術を失い、人命にも手を出した」と批判した。
抗議行動拡大を重く見たマドゥーロ大統領は同日夜、野党側に対話を呼びかけ、特別委員会を設置。検察も職権濫用や自由な抗議行動参加を妨げるような行為の摘発要請に応じる事を約束した。
同国がニコラス・マドゥーロ大統領による独裁政治となっている状況や人権侵害を危惧する声は、ブラジルを始めとする南米諸国連合や米州機構、アムネスティー・インターナショナルのような国際的な人権団体、欧州連合(EU)でも高まる一方だ。
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