ブラジル南部パラナ州フォス・ド・イグアス市と国境を接する、パラグアイはアルト・パラナ県の政庁所在地、シウダ・デル・エステ市で24日未明、少なくとも30人の武装集団が現金輸送会社のプロセグール社を襲撃。金庫を爆破し、少なくとも4千万ドル(1億2千万レアル相当、その後被害額は「確認中」に変更)の現金を奪い、ブラジルに逃亡した疑いもあると、同日付ブラジル国内サイトが報じた。
パラグアイのメディアは、これは同国史上最大規模の強盗事件だと報じている。
自動小銃や機関銃、手榴弾で武装した強盗たちは、周辺道路を封鎖し、路上駐車されていた車15台以上に火をつけたほか、警察著や同県政庁などの公共施設に一斉射撃を浴びせるなどした。
強盗と戦闘状態になった警察はジリジリと後退し、人員と装備の補強を要請した。パラグアイ警察の特別作戦グループの1人が銃弾を受けて死亡し、負傷者も4人出ている。
犯人がボートを使い、パラナ川を下って逃亡した疑いもあったため、パラナ川上空をヘリコプターで飛んでの捜索、追跡も行われた。
捜査当局は、「犯行は訓練された組織によるもので、互いにポルトガル語を話していた」との証言があると明かした。
今回の事件には、ブラジル・パラグアイ間の国境付近で覇権を争うブラジルの犯罪組織であるコマンド・ヴェルメーリョ(CV、本拠地はリオ)もしくはサンパウロ市に本拠を置く州都第一コマンド(PCC)の関与も疑われている。
シウダ・デル・エステ市とフォス・ド・イグアス市を繋ぐ「友好の橋」は、パラグアイ、ブラジル両国の警察によって封鎖され、国境付近の警備も強化されたが、不審な人物は誰も発見されていない。
「犯人は警備をかいくぐって既にブラジルに入ってしまった」、もしくは「まだパラグアイに留まっており、隣接するエルナンダリアス市に逃げ込んだ」など、情報は錯綜している。
パラグアイのオラシオ・コルテス大統領は軍の出動も命じたが、午前8時現在、逮捕者は出ていない。
パラグアイのロレンソ・レスカーノ内相はインタビューに対し、「犯人はブラジル人だ」と明言した。
同相は、「この手の犯罪は我が国では初めてだ。情報機関を通して、現金輸送会社襲撃が起きる可能性は把握していたが、いつ、どこで、何を目的に襲撃するかまでは把握し切れていなかった」と語った。