サンパウロ総合大学医学部がサンパウロ市で亡くなった50歳以上の人1092人分の脳を調べた結果、認知症患者の3分の1は高血圧や肥満といった慢性病治療で防ぎうる事がわかったと24日付エスタード紙が報じた。
生前に症状が出て認知症と診断されていた人は480人おり、50%はアルツハイマー病が原因だったが、35%は脳血管障害によるものだった事がわかった。
同病の中核症状は、記憶障害や、時間・場所・人物が識別不能となる見当識障害、計算能力や判断力低下、失語・失認・失行などの認知機能障害で、幻覚や妄想、徘徊、睡眠障害などの周辺症状が出る事もある。中核症状は神経細胞の脱落で起き、病気進行と共に徐々に進む。認知症の原因となる疾患は、脳血管障害やアルツハイマー病、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などだ。脳血管障害による認知症は、脳梗塞で倒れた後だけではなく、本人や回りも気づかない小さな血管障害を繰り返して起きる事がある。
老年医学専門のクラウジア・スエモト氏によると、血管障害は脳内血管を健康な状態に保つ事で防げるという。血管を健康な状態に保つには、高血圧の治療を行う、喫煙を避ける、運動を行うなどの工夫が必要だ。
今回調査で血管障害による認知症が35%確認された事も、注目を集めた。欧米諸国の平均は20%程度だからだ。
調査に当たった医師達は、ブラジルでは予防医学的なサポートが不充分なために、血管障害による認知症の割合が諸外国より高くなった可能性を指摘している。
また、生前は認知症の症状はなかったという612人も、25%は脳血管障害を起こしていた事が判明した。認知症の症状を年齢ゆえと見て、認知症に気づかなかった可能性があるという。
4年前、中度の認知症と診断されたジウダ・バルボーザさん(88)には、高血圧や糖尿病、肥満などの問題がある。彼女の場合は血管性にアルツハイマー病が重なり、重度に進んだが、元々忘れっぽく、娘の名前を取り違えたりしていたせいで受診が遅れたという。
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