「原爆を落とされた広島や長崎の病院や施設で暮らす患者さんに千羽鶴で愛を届けたい。この運動を通して、原爆で何が起こったのかを振り返り、平和のメッセージを届けられれば」―。『一つの願いを千羽鶴に』プロジェクトの大泉良子リジア代表(二世、32)=マット・グロッソ・ド・スル州カンポ・グランデ在住=は、日系団体へ同プロジェクトの協力を呼びかけている。
入院患者に折り鶴を贈ることを目的として、昨年8月にこの運動は開始された。大泉代表は、「人の繋がりの大切さを示したかった。人と人との間に連帯感や前を向くことの大切さを喚起させ、日本文化の価値を高め、さらに浸透させていければ」と活動の原点を語る。
カンポ・グランデ市内の病院患者に折り鶴を手渡した最初のプロジェクトでは、2カ月間で1万羽を予定していたが、それを上回る1万3千羽が集まった。
活動は国外にも広がり、紛争に苦しむパレスチナなどの病院にも届けられ、これまでに1300人のボランティアが動員され、作製された折り鶴は3万羽以上に上る。
また、昨年11月末におきたサッカーチーム、シャペコエンセ搭乗機墜落事故後、強く胸を痛めていた大泉さん。シャペコ市内の非営利団体『私が平和』が「愛を伝えよう」キャンペーンで折り鶴の募集をしていることを知り、「これだ!」と思って協力を決意した。
今年2月に行われた事故後初の親善試合に向け、たった10日間で300人のボランティアを動員して2万1千羽の折り鶴を届け、試合会場にところ狭しと飾られたことは記憶に新しい。
今回の広島・長崎プロジェクトでは、日系人の多いサンパウロ州、パラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州を中心に、原爆投下の日に向け、5月からキャンペーンを本格化させる意向だ。「一人でも多くの人を巻込みたい」と意気込む。先週には、サンパウロ市の日系主要団体を訪問し、協力を要請した。
昨年5月、オバマ前大統領が現職大統領として広島を初公式訪問して世界的な話題になり、当地でも平和の機運を高める運動が広がりつつある。
大泉さんは「記念碑などではなく、病院や施設で苦しんでいる方に直接届けたい」と語り、「広島や長崎で何が起きたのかを肌で感じるため、直接手渡したい。そして、帰伯後にその気持ちを皆さんにお伝えすることが出来れば」と期待を膨らませている。
同プロジェクトに関心のある団体は、大泉代表(67・8421・1816)もしくは、フェイスブック(https://www.facebook.com/1000Tsuruspor1Desejo/)まで。