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《ブラジル》労働法改正=賛成296票で下院が承認=審議の場は今後上院へ=「改革を進める」と大統領

26日下院本会議の様子(Antonio Cruz/Agência Brasil)

26日下院本会議の様子(Antonio Cruz/Agência Brasil)

 【既報関連】26日夜、労働法改正案が下院本会議で、賛成296票、反対177票で可決されたと27日付現地紙が報じた。

 労働法改正案の審議を迅速に行うため、与党は18日に「同案を優先事項として審議する」ための動議を出したが否決。しかし、翌19日にもう一度緊急動議を提出して可決に持ち込み、審議、承認のスピードアップを図っていた。
 それを受け、25日には下院特別委員会で同法改正案を可決し、翌26日の下院本会議で即刻可決と、政府与党の力技が発揮された。同案は今後上院での審議に移る。
 下院での審議をテレビで見守ったテメル大統領(民主運動党・PMDB)は、承認後すぐに、「改革への道をさらなる熱意を持って進めよう」と語った。
 テメル政権の進める改革の〃本丸〃は、社会保障制度改革だ。これは憲法改正が必要な法案であるため、承認に向けてのハードルは労働法よりもずっと高く、下院定数の513人の60%を超える308票の賛成が2回必要だ。
 「296票は良い結果だ。社会保障制度改革の承認に必要な308票まであとわずか12票で、政府の改革路線は強化された」と語るのは、モレイラ・フランコ大統領府秘書室長官だ。
 テメル大統領は今回も、「閣僚を一時的に職から解いて議員に戻し、賛成票を入れさせる」作戦を実行した。特命で下議に復活し、賛成票を投じたブルーノ・アラウージョ都市相は、「308票に届かなかった事は、動揺をもたらさない」と発言した。同都市相と同じやり方で賛成票を投じた閣僚には、メンドンサ・フィーリョ教育相、フェルナンド・コエーリョ鉱動相、ロナウド・ノゲイラ労務相らがいる。
 与党議員は終日強気の姿勢を崩さなかったが、水面下では1票でも多くの賛成票を獲得するため、熱心に働きかけを行った。その一例は、女性議員票54票を獲得するために駆け込みで挿入した、「同じ職務、同じ時間働く従業員を性別、人種によって差別した企業には罰金を課す」などの変更だ。
 他方、野党議員は労働法改正案を「酷い内容」と非難し、採決の引き延ばしを図った。労働者党下院リーダーのジョゼ・ギマラエス下議は、「この改革案で雇用が回復できるというが、それは欺瞞だ」と語った。

年金改革可決の鍵はPSBが握る?

 下院第5党で34議席を占める連立与党の社会党(PSB)は24日、諸改革には反対票を投じる意向を表明していた。その結果、26日に投票した30人の票は、賛成14、反対16と大きく割れた。また、やはり改革に反対の意向を表明していた連帯(SD)は14人中13人が投票し、賛成5、反対8だった。
 社会保障制度改革の承認に足りない12票獲得に向けて、政府や与党は既に、反対票を投じた議員のいる連立与党の説得工作を始めている。