上院で26日、二つの投票が行われ、三権(司法・立法・行政)の要職者の裁判での特権などを保障した「フォロ・プリヴィレジアード」(以下FP)廃止と、検察官や裁判官なども含む公職者に対する「職権濫用禁止法」の二つを可決した。27日付現地紙が報じている。
FPとは、連邦議員や連邦裁判所、連邦政府の要職に就いている人たちが裁判に巻き込まれた場合は、地裁や高裁での裁判を免除され、最高裁のみが扱い、州知事などの場合は高裁以上で扱うといった特別措置で、全国で3万5千人ほどがFPの対象となっている。
だが、そのために、最高裁が抱える案件があまりにも増え、裁判が滞りがちだった上、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)に関与したとされる閣僚や議員への捜査などがなかなか進まないなどの問題が深刻化した。
LJ開始以降、政治家への特権廃止を要求する声が高まったが、議員から「それならば三権に従事する人全てを対象に」との声があがっていた。
この日はランドルフ・ロドリゲス上議(社会主義自由党・PSOL)を報告官として、憲法改正法案(PEC)の一次投票が行われた。同上議はリカルド・フェラッソ上議(民主社会党・PSDB)が提案した「三権の長に関しては、最高裁での裁判特権は失わない」という修正案を採用した上で投票を行った。
その結果、賛成75、反対ゼロという圧倒的な結果で、汚職を含む一般的な犯罪に関するFP廃止案が初回承認された。
FP廃止案はもう一度上院で承認後、下院に回され、審議される。もし下院でも定数の3分の2以上の賛成で2度承認され、憲法改正となれば、現在、最高裁が抱えているオデブレヒト社の報奨付供述を受けた捜査案件は、76件から2件にと激減することになる。
上院では同日、「職権濫用禁止法」の投票も行われ、こちらも54票対19票という大差で法案は通過。下院に回されることが決まった。
同法案は、容疑者や証人の強制連行と事情聴取には事前通知を必要とすることや、逮捕者や犠牲者、捜査対象者の顔写真や録音などの公表基準の厳格化、逮捕延長を長期化させないことなどを規定しており、一部は当初より穏便になった。同法案は「政治家によるLJ牽制」としてLJ捜査班から強い反対を受け、マスコミや世論でも問題視されていた。
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