労働者の日(メーデー)の5月1日、ブラジル各地で、労組が労働者の権利保護を求めるデモを行ったと2日付現地各紙が報じた。
1日のデモは4月28日に各地で行われたゼネスト同様、現在議会で審議中の労働法改正と年金制度を中心とした社会保障制度改革反対を主な主張に掲げた。
労組は、「これは始まりに過ぎない」とし、両改正案に反対するために首都ブラジリアまでのデモ行進を行うことや、さらなるゼネストの可能性にも言及した。
サンパウロ市でのデモでの批判の矛先は、労働者法と社会保障制度の改革、ジョアン・ドリアサンパウロ市長(民主社会党・PSDB)、ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)の三つに集中した。
テメル大統領は労働法や社会保障制度の改革推進者で、ドリア市長は、4月28日にゼネスト参加者を「働きたがらない怠け者」と呼んだ上、左翼労働者党(PT)、特にルーラ氏への批判的な言動を繰り返している。
中央統一労組(CUT)のヴァギネル・フレイタス会長は、国民の71%が社会保障制度改革に反対し、61%がテメル政権を「悪い」または「最悪」と評価しているとの世論調査の調査結果に基づき、「ブラジル国民は現行政府の進める改革を望んでいない」と主張した。
主要労組代表者たちは2日、前上院議長でPMDB上院リーダーでもあるレナン・カリェイロス上議を始めとする上院議員たちと会談し、労働法や社会保障制度の改正については、労働者と交渉を行うように要請した。
労組側は特に、派遣法や年金受給開始年齢の引き上げ、組合税納入義務の廃止などに難色を示しており、労組「フォルサ・シンジカル」会長のパウロ・ダ・シウヴァことパウリーニョ下議は、「組合税が廃止されたら労組はどうやって労働者の権利を守るんだ?」と問いかけた。
テメル大統領は1日、インターネット上に労働法改革は雇用拡大に寄与するとした、改革への理解を求めるメッセージ動画を投稿した。大統領は同日夕刻も、大統領公邸に閣僚や連立与党幹部らを集め、今後の対応を協議した。
労働法改正案は既に下院を通過したが、社会保障制度改革の下院通過の条件は、労働法の場合の「出席議員の過半数の賛成」から、「下院定員の6割以上の賛成が2回」と、ハードルが上がる。
労働法に賛成した296票では、社会保障制度改革に必要な308票に12票届かず、今後は造反与党議員への説得工作などを強化していく見通しだ。