ブラジル北部マラニョン州ヴィアーナ市内に位置する先住民ガメラ族の集落が4月30日に、大型ナイフや銃で武装した男たちに襲われたと2日付現地紙が報じた。先住民宣教師協議会(CIMI)によると、少なくとも13人の先住民が負傷した。腕に重症を負った先住民もいたという。
CIMIの情報によると、負傷した先住民の内5人は、同州州都のサンルイスの病院に搬送された。銃弾が顔面を掠めた2人は既に退院したが、残りは引き続き入院している。負傷者の中には、腕や手に重症を負った人や、銃弾が肋骨を折り、胸部に止まった状態になった人もいる。
犯人は、先住民たちと土地の所有権を争っている農園主に雇われた殺し屋と見られているが、まだ正確な身元は確認されていない。
先住民が住んでいる地域は地元の農園主たちと土地争いの場になっていた。今回の先住民襲撃事件が表沙汰になって以来、マラニョン州軍警が紛争に介入するために現場に派遣された。
先住民代表者らは、マラニョン州政府と、国立先住民保護財団(Funai)に対して、ヴィアーナ市内の各集落に住むガメラ族の保護を要求した。
同州人権局は、特別捜査チームを組織した上、サンルイスに搬送され、入院中の先住民たちから事情を聞く意向を表明した。同局はまた、州政府は、地域の安全を確保するために行動していくとしている。
ガメラ族が攻撃の対象となったのはこれが初めてではなく、過去2年で2回、銃による襲撃未遂が発生しているが、いずれもガメラ族が撃退している。
マラニョン州地裁は16年に、地元の企業家が出した、先住民たちと地元市民の間の土地占有権を取り決める訴えを棄却している。
同州のフラヴィオ・ジーノ知事(ブラジル共産党)は、昨年8月、Funaiに対し、対立の悪化を避けるため、州内ガメラ族の占有地の境界線作成を行うよう指示を出したが、Funai側は境界線の新規作成を行うための資金が足りないと返答している。
それを受けたジーノ知事は、境界線作成は連邦政府の責任に帰するとの立場を取っている。