16年12月、サンパウロ市西部ブタンタン区にある家庭裁判所のタチアネ・モレイラ・リマ判事の部屋は、10歳のM.J.ちゃんのための風船などで、あたかも遊具場のようになった。
2日付エスタード紙によると、リマ判事はこの日、Mちゃんから、彼女の母のヴァネッサ・デ・ジェズス・ナシメントと継父のアドリアノ・ドス・サントスの両容疑者による虐待に関する事情聴取を行った。
「毎週、何度も叩かれたの?」と訊くと「毎日」と答える。Mちゃんの母は夜、継父は昼間働いていたため、弟達の世話や家の掃除はMちゃんの役目。洗い残しの皿があれば立ったまま眠らされ、身動きできぬよう手足を縛られたり、ネズミが走り回る場所で寝かされたりした事もある。
母親を「母さん」と呼べば叩かれ、電気コードで縛った上に腹部に傷跡が残るほどペンチで締め上げられる、爪をはがされる、舌を切られて針で縫われる、ペンチで性器を傷つけられるなど、その残虐さは、公選弁護人をも驚かせた。
6歳の時から軟禁、奴隷労働、虐待に苦しんでいたMちゃんは、昨年8月に逃げ出し、病院に運ばれたが、ブタンタン区の児童相談所所長が警察に届けなかったため、見かねた職員がピニェイロス区の相談所に相談。同区相談員が警察に届け出たため、母親と継父が逮捕、裁判となった。
母親には48年、継父には33年の刑が下ったが、この刑は、イザベラちゃん殺害の罪に問われたアレッシャンドレ・ナルドニ、アナ・カロリーナ・ジャトバの両被告に対する31年と26年の刑を上回っている。