ブラジル連邦最高裁(STF)が2日にジョゼ・ジルセウ被告に対する人身保護令適用を認めた事で、パラナ連邦地裁のセルジオ・モロ判事が3日に五つの条件の下で釈放を決めたと、3日付現地紙・サイトが報じた。
同被告は15年8月から予備拘留中で、16年5月に収賄、資金洗浄、犯罪組織形成の罪で、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が禁固20年10カ月の実刑判決を言い渡していた。
労働者党(PT)ルーラ政権で官房長官を務めた同被告への人身保護令適用は、STF第2小法廷での審理で決定した。拘留延長に賛成したのはラヴァ・ジャット作戦(LJ)報告官のエジソン・ファキン判事とセウソ・デ・メロ判事、反対したのはジアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドフスキ、ジウマール・メンデスの3判事だ。
これを受け、モロ判事は3日、GPS電子足輪をつけて過ごす事やサンパウロ州ヴィニェド市以外の市や外国への移動禁止、他の容疑者や証言者との接触禁止、裁判や事情聴取への出席、旅券提出の条件付で、釈放を認める文書を発行した。
ジルセウ被告はLJの刑事裁判二つで有罪判決を受けており、量刑は計32年に達している。メンサロン事件の裁判中もペトロブラス絡みの賄賂を受け取っていたため、ファキン判事の前任報告官の故テオリ・ザヴァスキ判事も、釈放すれば同様の犯罪を繰り返す可能性ありとして、人身保護令適用を拒んでいた。
ジルセウ被告への人身保護令適用は、パラナ州検察が同被告に対し、急遽、新たな告発を行った数時間後に決まった。メンデス判事は「司法手続きの経験の乏しい検事が焦って行った〃ざれごと〃に過ぎない。こんな事に判決が影響されたら『最高』裁の名折れだ」と切り捨てた。
人身保護令は無罪放免を意味しないが、今回の決定は、進歩党(PP)元会計のジョアン・ジェヌ被告とルーラ元大統領の親友の牧畜企業家ジョゼ・ブンライ被告に対する同令適用(4月25日、4月27日付本紙既報)に続くものだ。
STFが「裁判で判決が下る、または控訴審や上告審で刑が確定するまでは被告を長く予備拘留に置く事は不当」とする弁護側の論理を優先し、「事件の規模、被告を拘留から解いた際の証拠隠滅工作の恐れ、被告によっては少なくとも一審判決は出ているから予備拘留は正当」とする検察側の論理や、報奨付供述による捜査進展という司法当局の狙いを裏切る形になったことで、LJの捜査や裁判の有効性を懸念する声も出始めた。
人身保護令適用を狙うLJの被告は後を絶たない。主な被告はエドゥアルド・クーニャ元下院議長やセルジオ・カブラル元リオ州知事などだが、先日、報奨付供述に応じる姿勢を見せたアントニオ・パロッシ元財相・官房長官も、直ちに人身保護令適用を申請した。