2000年代始めにバイオ燃料の材料として注目を集めた椰子の仲間のマカウーバ(マカイーバとも呼ばれる)が、期待以上の効用のある植物である事が判明し、注目度がいや増している。
「マカウーバの油は絶品」というのは、ヴィソザ連邦大学教授で生物学者のセルジオ・モトイケ氏だ。同氏によると、マカウーバの油は食用になる上、バイオ燃料の原料として使うよりもっと付加価値が高い、油脂科学や化粧品の原材料となるという。
モトイケ氏によると、ルーラ政権がバイオ燃料の原料として推奨したトウゴマ(マモーナ)栽培は生産に向けた資本や投資の不足で挫折したが、マカウーバにはそういった心配は無用だという。
マカウーバは公園や街路にも植えられており、国内では、南部を除いた地域で最も一般的に見受けられる椰子の仲間だ。マカウーバは建築資材としても使われ、栄養豊富な実はそのまま食す他、食材や栄養補給材としても用いられている。
北東部では昔から、マカウーバの実を気管支炎などの治療薬としても用いており、栄養学的研究と共に、薬理学的な研究も待たれている。
マカウーバの実は、皮と果肉、種子の周りのやや固めの部分、種子の四つの部分に分けられる。利用価値がより高いのは、バイオ灯油やバイオ・ディーゼルの原料として利用できる油脂が採れる果肉部分と、化粧品などの原料ともなる油脂が採れる種子の部分だ。
実や皮はタンパク質が豊富で、油脂を採った後のカスにも30%のタンパク質が含まれているため、家畜のえさなどに利用出来る。種子の周りの固めの部分は、活性炭になるという。
マカウーバは成長が早い木ではないが、1ヘクタール当たり500本を栽培出来る。また、根がしっかり張るため、土地の侵食が起きている所に植えると、地盤崩壊などを防ぐ上、土壌を健全な状態に保つ事が出来る。標高500~1千メートル、気温15~35度の地域なら、年間降水量が多くなくても生育する。
実がなり始めるのは植えてから4~5年後で、50年以上実がなるが、商用栽培なら20~25年サイクルで植え替えた方が良いという。6~7年経った木からは、ヘクタール当たり3~4トンの油脂が採れ、生産性も高い。大豆の油脂はヘクタールあたり600キロだし、デンデ椰子は1日60リットルの水を必要とするのに、ヘクタールあたり5トン以下の油脂しか採れない。
実の収穫時期は地域や雨の季節によって異なる。ミナス・ジェライス州では10月から3月にかけて収穫可能だが、最盛期は11月半ばから1月の半ばだ。各々の木の収量は3年周期で増減を繰り返す。
マカウーバの種は正式な売買許可が出ていない上、苗も農務省に商用登録されていないため、本格的な商用栽培は始まっていない。マカウーバの利用者や市場はまだまだ限られており、研究者以外にはその効用が知られていない部分があるが、ミナス州や南マット・グロッソ州などでは、実や油脂を使った商品の製造や販売を行っている企業も出てきている。(3日付G1サイトなどより)