ブラジル全土では、合計1158カ所に及ぶ統一医療保健システム(SUS)の診療所が、建設後も実際に機能しないままになっていると、5日付現地紙が報じた。
SUSには救急診療所(UPA)と保健所(UBS)があり、全国では、165カ所のUPAと993カ所のUBSが、予算不足や計画性の乏しさから機能していない。
現在ブラジルでは、538カ所のUPAとおよそ4千カ所のUBSが稼動している。
保健省の試算では、実際には機能していない医療施設建設のために使われた公費総額は10億レアルを超えるという。
保健省は2008年以降、SUSへの投資を新しい医療施設の建設にだけ振り分けてきた。
マウロ・ジュンケイラ全国保健局審議会(Conasems)会長は、「各市は、割り当てられたSUS関連予算を新規医療施設建設以外に使うことができなかった。これ以上の施設は必要ない自治体や作った後にそれを保持する予算さえない自治体もあるのに、割り当てられた予算を既存設備拡充などの急を要す事柄に回すことが許されなかった」と言う。
就任後1年未満のリカルド・バロス保健相も、「結局のところ、計画性がなかった。UPAやUBS以外にも、納入されて一度も使われていない医療機器や、機能していない公立病院もある」と語り、今後は改善に努めると語った。
UPAを1カ月稼動させるには150万レアルの予算が必要だ。また、UPAやUBSの管理は市の責任だが、施設自体の維持費は連邦政府、州、自治体が共同で賄う。
保健省はバロス大臣就任後の最初の10カ月間で290億レアルの支出削減を行い、126カ所のUPAを機能させる費用に振り向けた。
昨年12月には、使われないままになっている医療施設の開業を促すために、医療施設稼動のために必要な最低人員の規定の見直しも行った。