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《ブラジル》年金改革難航で金融市場に不安漂う=「譲歩は経済効果を弱める」の声も

 テメル政権の進める、年金改革を中心とした社会保障制度改革への意見書が3日、下院特別委員会で承認されたが、市場の反応は芳しくなかったと5日付現地紙が報じた。
 4日のサンパウロ市株式市場指数は、マイナス1・86%の6万4862ポイントで引け、為替相場は0・7%ドル高の1ドル=3・181レアルで引けた。ドルはほぼ2カ月ぶりの高値となった。
 市場関係者は、23対14で承認しているようでは今後の下院本会議での承認は心もとなく、政府はさらなる譲歩を強いられると見ている。
 委員会採決時の賛成票は全体の62%あり、本会議での承認に必要な60%を上回っていると与党側は強がっているが、本会議では出席議員の60%ではなく、議員定数の60%、308票を固めなくてはならない。
 金融情報の提供や教育を行うL&S社共同経営者のアレッシャンドレ・ヴォルヴァクツ氏は、「政府の目指す改革路線に賛同する投資家たちは、委員会での年金改革案承認はもっと容易だと考えていた」としている。
 市場関係者の間では、これ以上政府が譲歩すれば国家財政健全化の効果も薄れ、経済への好影響も限定的なものになると懸念する声が起こり始めている。
 証券会社Um Investimentos社の経済分析員アウド・モニズ氏は、「社会保障制度改革は最終的には達成されると関係者は信じている。しかし、実質的な効果のあるものになるかどうか、そこが心配の種だ」と語った。