ラヴァ・ジャット(LJ)作戦の裁判で既に4回断罪され、汚職その他の罪で合わせて禁固57年の判決が出ている、ペトロブラス(PB)社サービス部元部長のレナト・ドゥケ被告が5日、パラナ州連邦地裁での取調べで、「ルーラ元大統領(労働者党・PT)は汚職計画を知っていたばかりか、仕切っていた」と語ったと、6日付現地紙が報じた。
ドゥケ被告の供述は、PT元幹部で、ルーラ政権の官房長官時代にPB経営審議会のメンバーでもあったアントニオ・パロッシ被告やマルセロ・オデブレヒト被告ら、計15人を対象とする刑事裁判の本人尋問の一環として行われた。この日の尋問は、4月17日の尋問では黙秘した同被告が自分から再尋問を願い出たことで実現した。
同被告は禁固刑になって既に2年で、これまでは黙秘を貫いてきたが、この日は、自身はPB社内でのPT対応担当だったと語った。
ドゥッケ被告はルーラ被告と3回会っており、最後の時は、「気をつけろ。お前の名前のものは何も〃あっては〃いけない」と念押しされたという。「PTは、大統領から会計、秘書、上下両院の議員に至るまで、全員が賄賂の仕組みを知っていた」とも語った。
ドゥッケ氏の生々しい暴露供述は止まらず、関係者らはルーラ被告をあごひげを撫でる仕草で表現したり、「ボス」、事故により指が1本ないため「ナイン(9本指)」の隠語で呼んだりしていたことも明かした。
ドゥケ被告は、2012年に結ばれた岩塩層下(プレサル)油田開発に関するプラットフォーム建設契約受注で、PB社からルーラに対して支払われた賄賂を実質的に管理していたのはパロッシ被告だったと語った。
ドゥッケ被告は「まだ正式な報奨付供述者ではないが、捜査に協力する意思を示すものとして話している」とし、国外口座で受けとった多額の賄賂も放棄するとした。ドゥッケ被告には報奨付供述専門の弁護士がついている。
これに対してルーラ被告は、ムヒカ元ウルグアイ大統領を招いて5日夜開かれたPTの集会で、「奴らこそ偽証罪でしめあげてやるぞ」「LJ作戦とやらを進める検察や司法はマスコミと結託関係にある」とまで語った。
なお、国内の有力週刊誌の最新号は、セルジオ・モロ判事とルーラ元大統領がプロレスのマスクを被り、にらみ合う似顔絵を表紙にするなど、世論は過熱の一途を辿っている。
10日に行われるルーラ被告本人への初訊問を目前にした6日夜、モロ判事はインターネット上に動画を投稿し、LJ作戦への国民の支持に感謝すると共に、10日の訊問は他の刑事訴訟プロセスと何ら変わりなく、LJ支持者らが、訊問の行われるクリチーバでデモ行為などを行う必要はないから、余計な混乱を避けるため、同市訪問を避けて欲しいと、異例の呼びかけを行った。