ダッタフォーリャが全国治安フォーラムの依頼で行った調査によると、16歳以上のブラジル人の内、少なくとも5千万人は友人や親戚が殺された割合になる事が判明したと8日付現地紙・サイトが報じた。
4月3~8日に150市、2065人を対象に行った聞き取り調査の結果、自分や知人が暴力事件に巻き込まれた経験のある人は49%おり、知人や友人、親戚が殺人事件や強盗殺人で死んだという人は35%いた。総人口に当てはめると、殺人事件や強盗殺人で友人や親戚を失った人は5千万人いる事になる。
親戚や知人に行方不明者がいる人は17%、友人や親戚が警官や市警備隊に殺された人は12%(16~24歳だと17%)いた。ナイフや棍棒などの火器以外の凶器で負傷した事がある人は8%、拳銃などの火器で負傷した事がある人は4%、殺すぞと脅迫された事がある人も12%いた。
ブラジルでは、ここ20年間で約100万人が殺されている。友人や親戚を殺された経験がある人が3人に1人いる事は、暴力行為は身近なところで起こり得る事や、身近な人を失った痛みの中で生きている人が大勢いる事も示している。
13年にサンパウロ市ピニェイロスにあるマクドナルドの駐車場で18歳だったジエゴさんを射殺されたリベイロ家では今も、父親が息子の部屋に入れない、母親は重度のうつ発病など、家族全員が大きな苦しみを抱えている。
06年にサンパウロ市を襲った「5月の犯罪」という名の暴力の波で、警官に息子を殺されたというマリア・ダ・シウヴァさんは、捜査打ち切りなどに反対する母親達と社会運動団体も立ち上げたが、司法当局は何の解決策も示していない。殺人事件などの被害者の40%は男性で38%は黒人だが、マリアさんは、事件の捜査が充分に行われていない理由の一つは、被害者や抗議者達が黒人で貧しい階層の人だからだとの苦言も呈している。
回答者の78%は、武器の流通量が多い程、殺人事件は増えると考えている。94%はブラジルの殺人発生率は非常に高いと認識しており、96%は国や州、市、議会などにも治安上の責任があると考えている。93%は警官は命を守る事を最優先すべきと回答。犯罪者との抗争時は、裁判所の許可がなくてもファヴェーラなどに介入出来ると答えた人も56%いた。
今年になって、犯罪組織同士の抗争や鎮圧に出動した警官との銃撃戦などが頻発しているリオデジャネイロ市の場合、1~3月の暴力事件の被害者は昨年同期より26%多い1867人に上る。内、殺人事件の被害者は18%増の1475人、警官との銃撃戦などでの死者は85%増の302人。5月4日までに死んだ警官は、昨年の死者総数の65%にあたる50人に達している。