先月26日、群馬県佐波郡玉村町在住のショーロ歌手の片山叔美さんが、サンパウロ市のサンパウロ州立音楽学校「トム・ジョビン」内で公演した。
ショーロの音楽教師と生徒による生伴奏にのって、片山さんはピシンギーニャの名曲「ウン・ア・ゼロ」など10曲ほどを披露した。片山さんが早口で流れるように歌い上げる様を、通りがかりの人が立ち止まって聞きいる姿が見られ、1曲が終わるごとに大きな拍手が送られた。
公演後、片山さんは「本場の皆さんに喜んでもらえて嬉しい。楽しく歌うことができた」と笑顔で話した。
片山さんは約20年前、「ショーロの女王」とよばれるプロ歌手アデミルジ・フォンセーカのレコードに胸を打たれ、独学で歌い始めた。
日本でブラジル人歌手から歌い方やポ語を教わっていたが、04年に意を決して修行のために初来伯。フォンセーカ本人に飛込みで指導を頼み込み実現した情熱家だ。
その後、日本に戻って歌手として活動し、今回が来伯3回目。4月14日から5月2日まで滞在し、サンパウロ市内のライブハウスやサントス市で公演を行なった。
公演のスケジュールはサンパウロ市総領事館で元広報文化担当職員だった坂尾英矩さんが手配した。坂尾さんは「14年に東京で始めて彼女の歌声を聞き、惚れ込んだ。地方ではあまり活動の場がないので、もったいないと思った」と話す。そこで片山さんにブラジル公演の話を持ちかけ、3年越しで来伯が実現した。
片山さんは玉村町(角田絋二町長)から広報活動を委託されており、今回のブラジルでの活動は町に報告される。片山さんは、「私の歌でショーロに関心を持つ人が、日本で少しでも増えてくれれば」と今後の活動に気合を込めた。