ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 《ブラジル》ルーラが尋問で三層住宅所有を否定=「妻が欲しがった」と釈明=「証拠を見せろ」と反撃する場面も=判決は検察、被告の再弁論後

《ブラジル》ルーラが尋問で三層住宅所有を否定=「妻が欲しがった」と釈明=「証拠を見せろ」と反撃する場面も=判決は検察、被告の再弁論後

5時間近くに及ぶ尋問の後、支持者の前に立つルーラ元大統領(Ricardo Stuckert)

5時間近くに及ぶ尋問の後、支持者の前に立つルーラ元大統領(Ricardo Stuckert)

 【既報関連】パラナ州クリチーバの連邦地裁で10日、セルジオ・モロ判事が、収賄と資金洗浄の容疑で起訴されたルーラ元大統領(労働者党・PT)に対する本人尋問を行ったが、同被告は5時間にわたる尋問中、常に、建設大手OAS社からの賄賂としてサンパウロ州グアルジャー市の高級三層住宅を受け取った事を否定したと、11日付現地各紙が報じた。

 検察は、グアルジャー市の三層住宅は、OAS社が石油公社ペトロブラス(PB)社との事業契約締結の見返りにルーラ氏に寄贈したもので、一般型から三層住宅へのランクアップ時の差額や改修費、ルーラ被告の私物保管料を含む総額370万レアル相当の経費は賄賂の一部だったとしている。
 同被告は「何も頼んでいないし、何も受け取っていない。何も払っていないし、高級三層住宅など所有してもいない。これが真実だ」と語り、全面的に容疑を否定した。
 ルーラ被告は、今年2月に亡くなった故マリーザ夫人は投資目的で三層住宅購入を検討していたが、結局買わない事に決めたと思うと語った。
 モロ判事は、ルーラ被告も2014年2月に三層住宅を訪れた事を確認後、マリーザ夫人が同年8月に同住宅を再訪問した事について問いただしたが、同被告は「妻がまた行った事は知らなかった。妻は我々が何をするつもりかを常に聞いてきたわけではない。妻は三層住宅が我々の意向にそぐわないと言いに行ったのだと思う」と語った。
 ルーラ被告は尋問中、常に、「証拠を見せろ」と言い続け、マリーザ氏が2月に亡くなったのは言われなき疑いをかけられた心労のせいだと、モロ判事を攻撃。昨年、証拠として押収した孫の電子タブレットを未だに返却していない事を挙げて、検察も批判した。
 モロ判事がルーラ被告に「自分を陰謀の被害者だと思っているか」と訊ねた際は、「いや、ただ報道を見るに、検察は容疑者に重い刑を出し、その後に報奨付供述の誘惑をちらつかせている。レオ・ピニェイロなどは、減刑されたいがために何でも言って私を売ろうとしている」と語った。
 尋問中、常に同被告の背後に付き添っていた弁護士は、尋問後の記者会見で、モロ判事の質問はサンパウロ州アチバイア市の別荘やメンサロンなど、別の訴訟で扱うべき事項にも触れており、政治的意図を持ったルーラ被告への嫌がらせ、不当なものだったとした。
 OAS社やルーラ被告らに対する贈収賄や資金洗浄容疑での裁判の被告は、ルーラ元大統領、レオ・ピニェイロOAS元社長ら7人で、10日の尋問で、全被告への本人尋問が終わった。
 今後は弁護側、検察側双方に再度、申し立ての権利が与えられ、双方の弁を聞いた上でモロ判事が判決を下す。そこで有罪となった場合、被告たちはポルト・アレグレ市の連邦第4地域裁に控訴する事が出来る。ルーラ被告が服役するのは控訴審でも有罪判決が下った場合だ。同被告の被選挙権が剥奪されるか否かもこの時点で確定する。