《ブラジル》テメル政権発足から1年=信頼回復するも経済は足踏み=想像以上に重かった負の遺産

ジウマ前大統領の罷免手続きの前進に伴い、ミシェル・テメル氏が暫定大統領に昇格、就任してから丸1年の12日、テメル大統領は全閣僚を集めて1年間の総括などを行ったと同日付現地紙・サイトが報じた。
ジウマ氏を弾劾裁判にかける事と、大統領としての職責停止が決まったのは16年5月12日朝。テメル氏はその日の内に閣僚24人の就任式を行い、新政権をスタートさせた。
ジウマ政権下で始まった景気後退(リセッション)からの脱出、国内外で失った信頼回復など、新政権が抱える課題は多く、新政権は、前政権とは違う事を示すため、迅速な変化、改革を求められた。
諸改革には連邦議会の協力が必要なため、新大統領は、国際的にも信頼度の高い経済スタッフを選び、国内外に財政健全化や景気回復に取り組む姿勢を打ち出すと共に、食事の場に議長や議員を招くなどして、与党議員との交渉にも積極的に関わった。
こういった姿勢も奏功し、昨年は年間インフレ率を予算増額の上限とする法案が承認され、現在は労働法改正や、社会保障制度改革案などが議会で審議されている。
また、企業家や消費者の信頼感指数は上昇、経済的なリスクの度合いを示す指数も、就任当初の500ポイントから205ポイントにと、大幅に改善している。
だが、就任当初は、ジウマ氏罷免に賛同した議員の支援を得、迅速に事を進められると見られていたのに反し、国家財政健全化のための調整案や財政破綻した州救済のための法案の承認は難航。景気回復が思っていたように進まず、失業率が依然として高い事(現在の失業者は1420万人)なども、労働法改正や社会制度改革に対する国民全体の同意が得られず、支持率が低迷する一因となっている。
財政健全化のための3本柱承認の遅れは、前政権からの負の遺産を中長期的に解消する事も困難にしている。だが、景気後退長期化で国民が疲弊し、税収も落ちている中で、離職原因故に動かせなかった勤続期間保障基金(FGTS)開放などの措置で、市場や消費の活性化も図っている。インフレ沈静化などを受けた、経済基本金利(Selic)引き下げによる景気刺激効果にも期待が高まっている。
政治的には、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)での供述や閣僚内での摘発で、ロメロ・ジュカ企画相やジェデル・ヴィエイラ・リマ大統領府総務室長官といった片腕的存在の閣僚を失うという意味の危機も発生。大統領自身や現閣僚、連立与党のリーダーや議員にもLJの報奨付供述で言及されたメンバーがおり、今後の捜査の進展次第では、今後の諸改革にも陰を落しかねない状況だ。