サンパウロ総合大学哲学・文学・人文科学部が12日、同大学名誉教授で文芸評論家、社会学者のアントニオ・カンディド氏(98)が、アルベルト・アインシュタイン病院で亡くなったと発表したと、同日付G1サイトが報じた。
カンディド氏は食道裂孔ヘルニアを起こして具合が悪くなり、6日から同病院に入院していた。
家族によると、カンディド氏は亡くなる直前まで意識がはっきりしており、現在の政治危機や世界中で起きている戦争その他の問題に心を痛めていたという。娘で歴史学教授でもあるマリーナ氏によると、カンディド氏は人類が獲得してきたものや権利を失いつつある事を心底、案じていたという。
カンディド氏は、1918年7月24日にリオ市で生まれた。幼少時にミナス州に転居。その後はサンパウロ州内陸部に移り、1937年にサンパウロ総合大学に入学、社会学を専攻した。1940年代からは新聞にも寄稿し始め、文芸評論家として歩み始めた。
1945年からは母校で文学を教え始め、1974年には文芸理論や文学の主任教授となった。同校では1978年まで教鞭をとっており、ブラジルで最も重要な文芸評論家の一人とされていた。
文芸評論家としては、『ブラジル文学の形成』(1959年)など、社会学者としては『リオ・ボニートのパートナー達』(1964年)などの作品を残している。
同氏の通夜は12日午後5時からアルベルト・アインシュタイン病院で行われ、13日に火葬に伏される。葬儀は家族だけで行われるという。
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