【既報関連】ラヴァ・ジャット作戦(LJ)において、収賄、資金洗浄容疑で被告となり、16年9月から逮捕勾留が続いているアントニオ・パロッシ元財相が、報奨付供述(司法取引)に応じる意志を固めたと、13日付現地紙が報じた。
パロッシ被告は、デウシジオ・ド・アマラル元上議に次いで、報奨付供述に応じることを決めた2人目の労働者党(PT)の政治家だ。同被告には既に、一審で禁固30年以上の実刑判決が出ている。
同被告は4月20日に行われた本人尋問で一度、報奨付供述に応じる意志を示し、「自分が持っている情報の全てを差し出せば、捜査は最低1年は延びるだろう」と語っていた。
しかし、4月25日と5月2日に、パロッシ被告同様、PT元幹部だったジョゼ・ジルセウ被告や、ルーラ元大統領の親友のジョゼ・ブンライ被告などのLJの被告たちに人身保護令が適用されると、一転して、報奨付供述を扱い慣れた弁護士との契約を破棄し、人身保護令を申請した。
パロッシ被告は、従来から弁護を担当してきたジョゼ・バトッキオ弁護士と共に人身保護令適用を狙っていたが、最高裁のエジソン・ファキン判事は同令適用を拒否。同件を大法廷にかけることにしたこともあり、今回は再び態度を変えて報奨付供述を行うこととし、バトッキオ弁護士との契約を解除した。次に同被告に求められるのは、連邦最高裁に出していた人身保護令適用申請を取り下げることだ。
パロッシ被告は、PTのルーラ政権で財相、ジウマ政権では官房長官を務め、元PT選挙参謀のジョアン・サンターナ被告と妻のモニカ・モウラ被告による報奨付供述でも、「PT側で収賄オペレーションを仕切っていた人物」として名前が挙がった。サンターナ被告は、06年のルーラの大統領選時に、パロッシ被告から「支払いは国外の口座を通じて行う」と通達されたことも供述している。
同被告が報奨付供述を行うと決めた背景には、12日に連警が発動したブリッシュ作戦が影響したと見られている。同作戦では、社会経済開発銀行(BNDES)が食肉大手のJBS社に行った81億レアル規模の融資に関する不正を摘発している。同作戦でのパロッシ被告は、公的銀行であるBNDESからの融資決定に影響を及ぼし、賄賂を受け取った容疑者の一人とされている。
同被告の報奨付供述は、LJの捜査範囲を金融業界にまで拡大させる威力を持っていると見られている。
パロッシ被告が報奨付供述を決意したことで契約解除となったバトッキオ弁護士は、これまでに何度もパロッシ被告のために無罪判決を勝ち取ってきた。
同弁護士は、「私の元依頼人だったパロッシ氏は、クリチーバでの拘留中にかけられた心理的圧力に耐え切れなくなり、この決断に至った。徹底抗戦を諦めざるをえなかったのだ」とLJを批判した。