ブラジル連警は12日、社会経済開発銀行(BNDES)が食肉大手JBS社に対し、81億レアルの不正融資を行ったとの疑惑で、「ブリッシュ作戦」を決行したと13日付現地各紙が報じた。
同作戦では37件の強制出頭命令と20件の家宅捜索命令が出され、ルシアーノ・コウチーニョ元BNDES頭取や、JBS社の持ち株会社であるJ&Fインヴェスチメント社のバチスタ兄弟宅で家宅捜索が行われた。
ウェズレイ・バチスタ氏は強制出頭命令も受けており、サンパウロ市で取り調べを受けた。ルシアーノ・コウチーニョ氏とジョエズレイ・バチスタ氏は欧州と米国にいたため、帰国後に取調べを受ける。
BNDESでは、コウチーニョ氏以外にも、約30人の職員が捜査対象となっている。
捜査班は、コウチーニョ氏やバチスタ兄弟たちに本来の目的から外れた無謀な企業経営や、公的資金浪費の疑いをかけている。BNDESは民間企業であるJBSに融資を行う際に、同社のオペレーションの内容を厳しくかつ慎重に審査する必要があるが、それを怠っていた。
連警の報告書はJBSへの融資に際し、違法性が疑われる点が6項目あると指摘している。
BNEDS出資会社(BNDESPar)は08年、JBS社が米国のナショナルビーフ社とスミスフィールド社、豪州のタッスマン社を買収する資金として、JBS社の株式取得という形で9億8800万レアルの投資を行った。だが、ナショナルビーフ社買収は成立しなかったにも関わらず、JBS社は資金を返却しなかった。
さらに、BNDESParはJBS社の株式取得時に当時の相場の約1・5倍を払っており、1億6350万レアルの公金を損失した。連警はこの行為をJBS社への不当な優遇だとしている。
また、連邦会計検査院(TCU)の報告書によると、BNDESParがJBS株を買う形で行われたBNDESからJBSへの資金調達は、リスクが高いにも関わらず、僅か22日で承認された。
連警はこれ以外の外国企業買収時の不正も指摘しているが、JBS社は書面で、BNDESからはいかなる優遇措置も受けておらず、全てのオペレーションは法や市場のルールに則って行われたと弁明した。
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