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《ブラジル》最高裁が、大統領捜査の是非を審理=在職中は捜査せずと検察=それに異を唱えたPDT

ミシェル・テメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

ミシェル・テメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

 ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)を、大統領就任前に行ったとされる疑惑で捜査しうるか否かを、連邦最高裁大法廷が審理することになった。民主労働党(PDT)は10日、「大統領は、在職中は就任前の行為に関する捜査の対象にならない」との憲法解釈に異議を唱える訴えを起こしており、15日にルイス・フクス判事が捜査の是非を大法廷で審理することにしたと、16日付現地紙が報じた。

 先月、ラヴァ・ジャット(LJ)作戦において、建設大手オデブレヒト社(O社)元幹部による報奨付供述に基づく捜査開始要請が認められ、供述内容も一部を除いて公開されたが、同社の供述者の一部がテメル大統領の名前にも言及していたとの報道が流れている。
 しかし、ロドリゴ・ジャノー連邦検察庁長官は、「大統領は在職中、捜査対象にならない」との憲法解釈から、テメル大統領を捜査対象に含めていなかった。
 だが、労働者党(PT)のウンベルト・コスタ上議に対する捜査要請の基になった供述でも大統領の名前が言及されていたのに、大統領に対する捜査はお蔵入り扱いされたと知ったPDTが、その措置を不服とし、10日に最高裁に訴えた。
 自由と社会党(PSOL)も、大統領はその職務を離れた時にのみ捜査対象となるとのジャノー長官の判断に反対する訴えを起こしていた。
 LJ作戦のSTF報告官、エジソン・ファキン判事は同件に関してコメントしていないが、STF最古参のセウソ・デ・メロ判事は地元紙の取材に対し、「憲法解釈として、大統領が職にある最中も捜査は可能だ」としている。
 PDTは訴状で、テメル大統領を直接名指しこそしないものの、「大統領は、確かに、職務中に捜査対象となり得る」との論を展開している。
 テメル大統領の名前が上がっているとされたのは、O社が関わった事業の入札で賄賂が支払われた疑惑についての捜査の一つで、同捜査で直接捜査されているのはウンベルト・コスタ上議だけだ。
 しかし、O社元幹部のマルシオ・ファリア氏(GPS付足輪をつけて自宅収監中)は同件に関わる報奨付供述で、2010年7月にサンパウロ市のテメル事務所での会合で金銭の授受について話し合われたと語っている。PMDBに払うよう要請された金額は4千万ドルで、O社が石油公社ペトロブラス社と締結した契約金額の5%にあたる金額だったという。PDTは、供述の内容はテメル大統領がその職に就く前のことで、収賄、資金洗浄、資本の国外回避の罪状が成り立つとしている。
 在職中の大統領を捜査できるかどうかを最高裁大法廷で審理するとのフクス判事の判断が明らかにされた際、テメル大統領はいかなる違法行為も犯していないと釈明した。同大統領は15日にもラジオインタビューで、「供述は絵空事だ。真実はいずれ明らかになる」と語っている。