ブラジル連邦警察が15日、自動車製造業者らのための税優遇措置を決めた暫定令(MP)延長に絡んだ贈収賄疑惑で、ルーラ元大統領ら13人を告発したと15、16日付現地紙やサイトが報じた。
連警が告発したのは、ルーラ元大統領、ジウベルト・カルヴァーリョ大統領府総務室元長官、エレニセ・ゲーラ元官房長官、ヒュンダイ車の製造やフォード、ヒュンダイなどの販売を担当するCaoa社のカルロス・アルベルト・デ・オリヴェイラ・アンドラーデ社長、三菱自動車ブラジル子会社、MMCアウトモトーレスのパウロ・フェラス元社長、ロビイストのマウロ・マルコンデス容疑者などだ。
自動車製造業者への税優遇措置は10年3月末日で失効となるはずだったが、09年に税優遇措置延長のために準備されたMP471号は、13年にも延長されており、その恩恵は15年12月末日まで及んだ。
北部や北東部、中西部の自動車製造会社はMP471号で年13億レアルの恩恵を被り、ロビイスト達に3600万レアルの賄賂を払ったとされている。
一連の金の動きは、財務省傘下の税務監理審議会(CARF)内部で行われていた贈収賄工作に関連し、連警が2015年3月に始めた「ゼロテス作戦」の中で明らかにされてきた。
MP471号の草案作成はルーラ政権下の2009年6月に始まっており、ルーラ氏の三男のルイス・クラウジオ氏の企業にも自動車製造会社からの賄賂の一部(240万レアル)が支払われていた。
今回、ルーラ氏ら13人が告発された事は、連警が昨年11月から始めた、「ゼロテス作戦」で押収されたメールその他の資料解析により、ルーラ氏がMP471号での不正に関与した事は疑いの余地がないと判断された証拠だ。連警によると、少なくとも600万レアルが労働者党(PT)にわたった他、民主運動党(PMDB)の現・元上議にも賄賂が支払われていたという。
ルーラ氏は既に、13年のMP627号による優遇措置延期や、スイス製戦闘機グリペンを54億ドルで購入する契約などで250万レアルの賄賂を受け取った疑いで起訴され、ルイス・クラウジオ氏やロビイスト2人と共にブラジリア連邦地裁の被告となっている。
今回のルーラ氏告発はまだ連警レベルだが、検察が起訴し、裁判所がそれを受理すれば、ルーラ氏はゼロテス絡みで2件目の被告となる。
ルーラ氏弁護団は今回も、「ルーラ氏はこの2年間、政治的迫害にあっているが、同氏が不正を行った証拠は何一つ見つかっていない」と釈明している。