食肉大手企業JBS社主であるバチスタ兄弟の報奨付供述(司法取引)の中に、ミシェル・テメル大統領(民主社会党・PSDB)が、ラヴァ・ジャット(LJ)作戦で逮捕中のエドゥアルド・クーニャ被告に口止め料を払うことを容認していた内容が含まれていることが明らかになり、エジソン・ファキン最高裁判事が大統領に対する捜査開始を認めたと、17、18日付現地紙・サイトが報じた。
この知らせは17日夜7時半にグローボ紙電子版に掲載され、直後のTVニュースでも大々的に報じられた。
サンパウロ市や首都ブラジリアでは、その日の内にテメル大統領退陣を求めるデモも発生。下院では、テメル大統領の辞任と直接選挙での大統領選挙実施を求める、罷免請求が出された。ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は紛糾する議会を閉会させた後、「審議を続けられる状態ではない」と吐き捨てた。
ジョエズレイ・バチスタ容疑者は、3月7日にジャブル宮でテメル大統領と会い、クーニャ被告とその部下のルシオ・フナロ被告が報奨付供述を行わないように金を渡していると報告した際、大統領が「それを続けなくてはいけない」と話した、と供述した。
供述によると、テメル大統領は、J&Fホールディングス(JBSを保有する会社)が政府機関の経済防衛審議会(Cade)内で抱えている諸問題については、ロドリゴ・ロッシャ・ロウレス下議(PMDB)に相談するようにと語ったともいう。ジョエズレイ容疑者はテメル大統領とのやりとりを録音していた。
ジョエズレイ容疑者はまた、アエシオ・ネーヴェス上議(民主社会党・PSDB)からLJ絡みで200万レを要求されたことも録音しており、労働者党(PT)政権のギド・マンテガ元財相も、JBSからPTへの賄賂の仲介役だったと供述した。
〃バチスタ供述〃が明るみに出た際、テメル大統領は北東部の州知事たちと会合中だったが、会合を即刻中止し、エリゼウ・パジーリャ官房長官やモレイラ・フランコ秘書室長官、アントニオ・インバッサイ総務室長官、エンリケ・メイレレス財相、ロドリゴ・マイア下院議長、ロメロ・ジュカー政府上院リーダーを呼ぶと、2時間にわたり対策を協議した。
テメル大統領はジョエズレイ容疑者と会った事は認めたが、クーニャ被告の口止めを図った事実はなかったと書面で発表し、LJ作戦が広範囲により深い捜査を行うことを支持するとした。
今回の供述は、建設大手オデブレヒト社元社長や幹部の供述などと異なり、テメル大統領を直撃している。連立与党からも辞任を求める声が上がり、24時間以内に3件の罷免要請が出るなど、労働法や社会保障制度改革は、もはや〃二の次〃事項になった。
テメル大統領は18日午後も「辞任はしない」と明言したが、罷免請求や来月の選挙高等裁、捜査開始承認といった難題に囲まれ、政権発足後最大の危機に立っている。